縦割り組織を越え「全体益」を追求するDX
関西学院が最終的に目指すDXは、縦割りであった組織とシステムを横断的に連携させ、一貫した総合学園として、入学から卒業までの「一連の管理」を可能にすることだと、藤澤氏は述べる。具体的には、児童・生徒・学生一人ひとりの「マスターデータ」を構築し、すべてのシステムで共有・活用することにより、教育研究の質の向上を図ることを最終目標としている。
この一連の取り組みは、藤澤氏が語る「業務自体をトランスフォーメーションさせ、より全体益を考えて進めていく」という、単なるツール導入にとどまらない、より大きな目標に向けた挑戦だ。
例えば、Zoom Phoneで電話を受けた際、通話内容の要約を他部署と連携し、対応すべきタスクを明確化して割り振ることで、より迅速な対応を実現しつつ全体益を考慮した業務プロセスを確立させていく。さらに自動音声応答機能も活用し、問い合わせ対応を一元的に管理することで、情報化推進機構が業務見直しの起点となり、「真のDX」を進めようとしている。

これらの取り組みを通じて、関西学院はクラウドへの完全移行を実現し、よりレジリエントで効率的な、そして藤澤氏が理想と語る「意識せずとも、気がつけば便利になっている」ような大学運営を目指す。
Zoom Phoneは場所を選ばない新しい電話
では、関西学院のDXを支えるZoom Phoneは、具体的にどのようなサービスなのだろうか。セミナーではZVC JAPANの辻本真幸氏が、Zoom Phoneが持つポテンシャルと、電話DXの全体像を解説した。
まず辻本氏は、Zoomが「Zoom Video Communications」から「Zoom Communications」へと社名を変更し、ビデオ会議だけでなく、より広範なコミュニケーション全体をカバーする「Zoom Workplace」へと進化していることも言及した。
Zoom Workplaceは、チャット、音声通話、ビデオ会議、AIコンパニオン、メール&カレンダー、スケジューラー、ホワイトボード、ノート、Docs、Clipsなど、多様な機能を単一のプラットフォームに統合している。これにより、ユーザーはチャットから音声通話、そしてビデオ会議へと、状況に応じてシームレスにコミュニケーション手段を切り替えることができる。

Zoom Phoneは、この統合されたコミュニケーションサービスの中核をなすクラウドPBXだ。従来の電話システムが、学内に物理的な交換機(PBX)を設置し、電話線を通じて公衆電話網に接続していたのに対し、クラウドPBXは交換機を学内に置かず、Zoomがクラウド上で提供するPBXをインターネットを通じて共同利用する仕組みだ。これにより、PCやスマートフォンにインストールされたZoomアプリに従来と同じ固定電話番号を割り当てることができ、場所を問わず外線発着信が可能となる。固定電話型のアプライアンス機器(据え置き型の専用端末)への着信も可能で、利用者のニーズに応じてデバイスを選択できる。

Zoom Phoneは2019年のグローバルリリース以来、急速に導入実績を伸ばし、全世界で700万以上、日本国内でも20万以上の導入数を達成した。この注目度の高さの背景には「AIと音声コミュニケーションの相性のよさがある」と辻本氏は述べる。
Zoom Phoneの生成AI「AI Companion」は、通話中にリアルタイムで会話の文字起こしを行い、要約を作成する。これにより、長い通話も途中で要点を見失うことなく、終了後には会話の要約や次のステップが自動で生成され、アフターコールワークの効率化に貢献。さらにボイスメールの文字起こし機能も搭載されており、留守番電話のメッセージを聞かずとも内容を把握できる。このようなAIによるサポートが、電話音声コミュニケーションの「見える化」の推進に大きく寄与している。
BCP強化、AI活用、そして職員のマインド変革まで。関西学院大学の事例は、電話DXが持つ大きな可能性を示した。
セミナーの最後には、ZVC JAPANからZoom PhoneのPOC(概念実証)用ライセンスの無償トライアルが案内された。同様の課題を抱える大学は、この機会に、次世代の音声基盤を体験してみる価値があるだろう。
【アーカイブ公開中!】大学DX最後の砦 ~学内外の音声基盤として、これからの電話の在り方~
本記事の内容を語ったウェビナーアーカイブを公開中! 関西学院大学の事例から学校全体でZoom Phoneを導入した背景をご紹介! いますぐ内容をチェック!
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