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特集記事(大学の新しい挑戦)

キャリア教育における、東京との格差をいかに埋めるか? 名古屋大学「リーダーシップ開発講座」の成果とは

名古屋大学 副総長補佐/キャリアサポートセンター長/大学院経済学研究科 教授 土井康裕氏&学生インタビュー

学生の成長を促すために必要なことは? 新講座の特徴

 新生「リーダーシップ開発講座」は2024年より半期の授業として実施している。15回にわたる講座の内容としては、学生が好きなことや就職に関して感じていることを言語化する第1部、企業のゲスト講師が学生時代から仕事やキャリアについて語り、それに対して学生が感じたことを発表する第2部、そして、学生が話を聞きたいと思った人に自ら社会人訪問を行い、自分の未来に向けて「何をしたいか」を考え、発表する第3部で構成されている。

リーダーシップ開発講座の様子(写真提供:ビズリーチ)
リーダーシップ開発講座の様子(写真提供:ビズリーチ)

 第1部では「これまでの人生を振り返って人生年表を作る」という手法を用いながら、自分が感じることを言語化する時間とした。その際、ファシリテーターは「オノマトペ」を用いて表現するなど、自由に発想・表現することを促したという。

 第2部の講師には、文部科学省でJAXAを担当する国家公務員や、海外留学を経験し商社で働くビジネスパーソンなどをゲスト講師として招き、学生時代からの人生年表に沿って、これまでの経緯や挫折、感じたことなどを織り交ぜながら語ってもらった。その内容を「(1)対面」「(2)ビデオを参加者全員で見る」「(3)自宅でオンデマンドで見る」の3つの方法で提供。いずれも手応えがあったというが、最も効果的だったのは、気になったところを何度も見返せる、自宅でのオンデマンド視聴だったという。

 土井氏は「ただ動画を配信するだけでは学生に響かない。学生の学びが深まったのは、考えることを繰り返し促し、翌週に学生同士が対面で議論する場を設けたタイミングだ。オンデマンド教材だけでは表面的な理解にとどまりがちだが、対面でのディスカッションがあれば、学生は驚くほど主体的に学び始める。私たちが見守る中で、学生は自らの考えを言語化し、他者と比較しつつ深めていく。このプロセスがあって初めて、オンデマンド教材が意味を持つと感じた」と振り返る。

 そして第3部は「自分が話を聞きたいと思った社会人」に話を聞くことを課題とした。積極的な学生は自らアポをとり数名に話を聞いてレポートにまとめたが、やや腰が重い学生の中には母親だけという人もいた。しかし、新卒で就職し、さまざまな壁を乗り越えてきたという母親の話に対し、「私はこう感じた」「こんな社会人になりたい」とつづっており、その学生らしい視点と味わいに納得感があったという。

 講座を経て、土井氏は「学生の変化と成長は目に見えてすばらしかった。自分と向き合い、仲間やゲスト講師との対話を通じて、自分が何に反応し、何を大切にするのかを発見するプロセスは、まさにキャリア教育の本質だと感じている。その結果、自分が何を目指そうとしているのか、何をやりたいのかを明確に言語化できる学生が増えたことが一番の収穫」と成果を語った。

 「『無理かもしれない』と思うことでも、最初から諦めるのではなく『やろうと思えば、できるかもしれない』と希望を持ってみる」。これは、土井氏が学生との対話の場でよく伝えているメッセージだ。

 「優秀な学生ほど予防線を張り、目標をあいまいにする傾向がある。そうすることで、失敗しても傷つかないという心理が働くのかもしれないが、手を伸ばさない限り届かない。不安ではなく可能性に目を向けて、手を伸ばしてみる。その姿勢こそが、学生自身の成長を促すはずだ」(土井氏)

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講座に刺激を受け、学生団体を立ち上げたケースも

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


関口 達朗(セキグチ タツロウ)

 フリーカメラマン 1985年生まれ。  東京工芸大学卒業後、2009年に小学館スクウェア写真事業部入社。2011年に朝日新聞出版写真部入社。  2014から独立し、政治家やアーティストなどのポートレート、物イメージカットなどジャンルを問わず撮影。  2児の父。旧姓結束。趣味アウト...

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森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

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