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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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イベントレポート(アクティブラーニング)

計算はできるのに文章題が解けない子どもたち──今井むつみ氏が語る、AI時代に不可欠な学びとは?

New Education Expo 2025「生きた知識で育む深い学び ~AI時代に認知科学から学びを考える~」レポート

 計算ドリルは得意なのに、文章題になると途端に解けなくなる。英単語を暗記したのに、文章ではうまく使えない──多くの子どもたちが直面する、こうした課題の背景には、知識が「生きている」かどうかの決定的な違いがある。AIをはじめとした技術の進化によって、教育も大きく変わろうとしている昨今、子どもたちがこれからの時代を生き抜くために不可欠な「生きた知識」をいかに育むべきか。内田洋行が企画支援を行い、2025年6月に開催された教育イベント「New Education Expo 2025」で、慶應義塾大学 名誉教授の今井むつみ氏が登壇した講演「生きた知識で育む深い学び ~AI時代に認知科学から学びを考える~」では、認知科学の視点から生きた知識を自ら得て、「自走する学び手」になる道筋を示した。本稿では、示唆に富む講演の模様をお伝えする。

暗記では生まれない「生きた知識」とは?

 慶應義塾大学 名誉教授の今井むつみ氏は、『学びとは何か──〈探究人〉になるために』『学力喪失──認知科学による回復への道筋』の著者としても知られ、子どもの学びの基盤となる、知識・推論力・認知能力を測る「たつじんテスト」の開発なども手掛けている。

慶應義塾大学 名誉教授/一般社団法人今井むつみ教育研究所 代表 今井むつみ氏
慶應義塾大学 名誉教授/一般社団法人今井むつみ教育研究所 代表 今井むつみ氏

 講演の最初に今井氏は、長年にわたり認知科学の分野において、子どもの言語発達を中心に研究を進めてきた経緯を語った。その経験から、言葉や知識を自らの力で獲得していく子どもの姿に着目し、「知識とは何か」という問いを探求してきた。

 幼児は、何も知識がないところから言葉を自分の力で習得し、間違えながらも自分で推論して使っていく。「このプロセスで獲得される知識こそが『生きた知識』で、学校で学ぶことに限らず、生活や生きることすべてにおいて大事である」と今井氏は述べる。では「生きた知識」とは具体的にどのようなものか。今井氏はそれを「使える知識」であると定義する。

 「生きた知識とは、必要なときにすぐに取り出せて、ほかの知識や情報と自由に組み合わせ、問題解決を可能にする。さらに、新しい知識を作り出せる知識である」(今井氏)

 単なる「暗記」から生きた知識は生まれない。自分で意味を理解しなければ、それは生きた知識として応用することができない。例えば、単語帳で覚えた英単語は、その断片的な知識をいつ・どこで・どのように使えばよいかがわからないため、実際のコミュニケーションで自由に文を組み立てることは難しい。「テストで点は取れても、それは『死んだ知識』にとどまってしまう」と今井氏は語る。

 では、生きた知識はどのようにして生み出されるのか。今井氏は「覚えた知識の断片(点)を、学び手自身が推論によって『面』へと拡張するところから始まる」と説明する。

次のページ
知識を点から面へと拡張する「アブダクション推論」

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この記事の著者

相川 いずみ(アイカワ イズミ)

 教育ライター/編集者。パソコン週刊誌の編集を経て、現在はフリーランスとして、教育におけるデジタル活用を中心に、全国の学校を取材・執筆を行っている。渋谷区こどもテーブル「みらい区」を発足しプログラミング体験教室などを開催したほか、シニア向けサポートを行う渋谷区デジタル活用支援員としても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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