「きっかけ」と「入り口」を創出する1分間の「SDGsラジオ」
続いて、ケシオンの岡本治樹氏が登壇。岡本氏は、広告代理店である同社が社会と子どもたちを結ぶための新規事業として開発した「SDGsラジオ」について紹介した。

SDGsが2030年を目標としている中で、教育現場では「持続可能な開発目標」という言葉は伝えても、「自分たちに何ができるか」まで落とし込めている事例が少ないという課題意識が、SDGsラジオを開発した背景にあったことを説明。子どもたちが社会を考える「きっかけ」や「入り口づくり」となることを目指しているという。
2024年から始まったSDGsラジオは、企業のSDGsへの取り組みや仕事内容を1分間の音声で紹介するポータルサイトだ。1分間という長さは子どもたちが集中して聞きやすく、その点が学校現場からも評価されているという。さまざまな企業の取り組みが掲載されており、学校関係者は無料で利用できる。なお、ナレーションは視覚障害者のナレーターチーム「みみよみ」が担当している。
現在、公立を中心に約4000校の小中学校に登録され、SDGsラジオをきっかけに子どもたちが特定の商品に興味を持ったり、「こんな会社に入りたい」と考えたりするなど、行動や意識の変化につながっている事例もあるという。

岡本氏は「飢餓や貧困といったSDGsの抽象的な目標を、企業の具体的な取り組みを通して聞くことで『これでもいいんだ』『これもSDGsなんだ』と子どもたちが身近に感じ理解を深めるきっかけになる」と、その意義を伝えた。加えて、SDGsラジオの活用事例として、小学校での総合学習におけるSDGsアイデア検討、中学校社会科での食品ロスに関するオンライングループワークなどが紹介された。
また、岡本氏は企業が教育に関わる意義として、子どもたちに社会を知るきっかけを提供することで、子どもたちの視点が広がること、学校での授業のヒントとして活用できることなどを伝えた。
アマゾンが提供する、家庭から始まるエデュテインメント
最後に、アマゾンジャパンの丸山舞氏が登壇した。自身も11歳と9歳の子どもがいる丸山氏は、「どこに行くにも『Fireキッズタブレット』を相棒のように持ち歩いて楽しんでいる」という我が子の様子を伝え、「Amazonデバイスが考えるエデュテインメント」について語った。

アマゾンは「キッズシリーズ」や「Kindleキッズモデル」といった子ども向けデバイスのほか、数千点のキッズコンテンツが楽しめるサブスクリプションサービス「Amazon Kids+」を開発。これらを通してエデュテインメントのきっかけを提供している。
Amazon Kids+は3歳から12歳の子どもを対象とし、アプリや本、ビデオなどのデジタルコンテンツが用意されている。子どもが好きなこと、夢中になれることを見つけ、未来の可能性を広げることを目指して開発されたサービスだ。保護者向けのペアレンタルコントロール機能も充実しており、利用時間の設定や子どもの興味関心の把握ができるようになっている。

さらに、プログラミング学習アプリや歴史漫画の提供などによって、子どもたちが親しみやすい形で多様なコンテンツに触れ、興味関心を広げるきっかけとなることを目指しているという。具体的な事例として、そろばん教室がデバイスを導入し「これまでに1万人以上の子どもがFireキッズモデルでそろばんを学んでいる」という実績を紹介した。
これらの取り組みの結果、複数の賞を受けるなどの評価を受け、販売台数は発売当初と比較して約4倍に増加している。「GIGAスクール構想によって学校でデバイスに触れる機会が増え、家庭でもデバイス学習に対する保護者の意識が変化し、受け入れられつつある状況を肌で感じている」と丸山氏は述べる。さらに「コンテンツの拡充、子どもが興味のあることを簡単に発見できる機能、保護者が安心して見守れる機能を提供しながらサービスを展開していきたい」と、今後の展望を語った。