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DNP、東大生研ONGと連携して「STEAM型次世代育成プログラム」の基本モデルを開発

 大日本印刷(DNP)は、東京大学 生産技術研究所 次世代育成オフィス(東大生研ONG:Office for the Next Generation)による指導のもと、高校生と社会人がともに学び合う「STEAM型次世代育成プログラム」の基本モデルを開発したことを、12月4日に発表した。

 同プログラムでは、高等学校で習得する、社会で働く際のさまざまな課題解決に必要な「自ら問いを立てるスキル」のための授業カリキュラムを、企業の社員とともに形にして設計・運営していく。学生のSTEAM型の探究学習と、社員の人材育成を同時に実現し、自らが学び続ける意識と問いを立てる力を育成することで、政府が推進する人間中心社会「Society 5.0」に不可欠な人材創出につなげていく。

 同プログラムの基本モデル開発は、DNPと東大生研ONGが企業の認知拡大や未来の顧客創出につながる職業体験、社会や仕事に関する情報収集といった体験学習だけでなく、事業推進や社会課題解決のために企業が求める人材を育成する学習プログラムを、企業と学校の双方の目線でつくることの重要性に着目したことから実施された。

 「STEAM型次世代育成プログラム」の基本モデルは以下の通り。

 同プログラムは、高校生と社会人が互いに学び合い、新しい視点を得るためのものであり、本質的なニーズを発見して変革につなげる「デザイン思考」を活用する。また、多様性への理解を深め、できる限り多くの人にとって使いやすい製品・サービスをつくり出すユニバーサルデザイン(UD)の視点から、身近な困りごとや社会課題を捉えることを重視している。高校生が自ら問いを立て、その問いに対する具体的なアイデアや製品・サービスを考え、社員・高校生同士などさまざまな視点からフィードバックを受け、さらなる問いに進むことを実践する。
 企業の社員が高校生の興味・関心に寄り添ってチーム学習で協働を促し、高校生が実社会の課題を「自分のこと」として探究しつつ学び、社員が教育現場で学びの実践に関わって高校生との対話を深めることで、社会課題解決に向けた多様な気付きを生み出す。
 社会人である社員は、メンター(指導者・助言者)となって学びの場に参加し、メンターとなる社員はコーチングの理論や手法等を事前に学習して、プログラムの実施に伴走する。社員は、高校生の学びへの伴走を通じて、リーダーシップ力やチームマネジメント力を養える。
 同プログラムは、企業の社員研修として活用することも想定しており、職業体験ではなく企業の採用の目線で自社の事業推進や、社会課題解決に必要な人材にフォーカスして、カリキュラムを設計する。導入を希望する学校と企業をマッチングさせて、授業の一環として展開していく。

 7月〜9月には、プログラム開発に向けた実証実験を行った。実証実験には、DNPグループ社員と東京大学の大学院生がメンターとなって、探究学習に注力する関東エリアの高校生が参加した。基調講演の講師に東京大学 先端科学技術研究センターの熊谷晋一郎教授を、視聴覚障害体験ワークの講師には出張授業などを行うGRIC(グリック)の高橋純也代表を招いている。また、ワークショップではグループ会社のUDのエキスパートであるDNPコミュニケーションデザインの社員も、バリアフリーとUDの違いの講義やアイデア創出のワークを実施した。

実証実験におけるワークショップの様子
実証実験におけるワークショップの様子
実証実験におけるワークショップの様子

 参加した高校生からは、「自分たちで社会課題を見つけ、アイデアを形にする経験が初めてで、とても貴重な時間で楽しかった」「UDの考え方、社会課題とその解決方法、身近なこととの関連性、アイデアの出し方など、多くのことを学ぶことができた」と評価されている。また、メンターとして参加した社員からは「自分自身の成長だけでなく、年代が異なるメンバーの成果を促すことで視野が広がった」との声が寄せられた。

 今後は、人材育成に課題を感じている多様な業界の企業との協働による実証実験を行うとともに、高等学校などにおける授業での活用に向けた、単元目標設定や評価などの整理を進める。2025年度中には、DNPからそれぞれの企業に向けて、企業研修プログラムとしての提供開始を予定している。また、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)にて、異年代・異文化での協働による社会課題解決の実現に向けて、同プログラムと関連した「STEAM型アイデア創出」のワークショップも予定する。

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https://edtechzine.jp/article/detail/11817 2024/12/06 13:40

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