無気力状態になる不登校児童生徒
同調査では、不登校児童生徒について把握された事実(情報・相談)についても公表されています。小学校・中学校ともに5人に1人以上は「学校生活に対してやる気が出ない」「不安・抑うつ」「生活リズムの不調」が当てはまっており、不登校はさまざまな要因や児童生徒個人それぞれの事情があると言えども、結果的に「無気力状態」に陥ってしまっていると考えられます。
学校に通わない/通えなくとも、児童生徒が学校外での居場所を持ち、日々の生活が充実し、将来への希望を持てるような支援が求められます。
不登校児童生徒について把握された事実(情報・相談) | 小学校 | 中学校 |
---|---|---|
いじめの被害 | 1.8% | 1.0% |
いじめの被害を除く友人関係をめぐる問題 | 11.5% | 14.4% |
教職員との関係をめぐる問題 | 4.4% | 2.1% |
学業の不振や頻繁な宿題の未提出 | 14.7% | 15.5% |
学校のきまり等 | 2.0% | 2.0% |
転編入学、進級時の不適応 | 3.3% | 4.5% |
家庭生活の変化 | 9.3% | 5.9% |
親子の関わり方に関する問題 | 17.0% | 9.6% |
生活リズムの不調 | 24.5% | 22.1% |
あそび、非行 | 2.3% | 4.0% |
学校生活に対してやる気が出ない | 32.2% | 32.2% |
不安・抑うつ | 22.7% | 23.4% |
障害(疑い含む)に起因する特別な教育的支援の求め | 8.8% | 5.9% |
個別の配慮(障害(疑い含む)以外)の求め | 8.5% | 5.5% |
まだまだ進まない不登校児童生徒のICT活用
不登校児童生徒にとって、自宅でも学習可能なICTなどの活用がコロナ禍を経て定着するかに思われましたが、すでに通常授業は対面に戻っており、小学校においては利用の減少、中学校では横ばいとなっていることからも、利活用にはまだハードルが存在しているようです。
これは、学校や自治体における「出席扱い制度」の認知および出席認定の温度差、そして教育関係者のICT活用に対する熱意・リソースの限界に起因していると考えられます。
忘れてはならない点は、不登校児童生徒にとって、授業に参加することが出席として認められるかどうかよりも、学校生活に加わっているという自己肯定感の高まりに寄与するため、柔軟なICT活用を通じ、授業に参加するハードルを下げていってほしいということです。
文部科学省では「やむを得ず学校に登校できない児童生徒等へのICTを活用した学習指導等について(令和4年1月12日)」というページ内で、チェックリストや自治体の活用事例を公表しています。