内田洋行は、東京都荒川区において、GIGAスクール構想第2期の端末更新として、児童生徒の新たな1人1台PCや教職員のいつでもどこでも仕事を行える最先端な教育ICT環境を整備した。
荒川区では、9月1日から教職員が利便性とセキュリティが向上した新たなICT環境の活用を開始した。2025年4月1日からは荒川区の小学校24校・中学校10校の児童生徒の利用開始を予定している。この度の荒川区の全小中学校へのICT環境整備事業でも、内田洋行グループが全体の利用環境の設計構築、PCやネットワーク機器の設定およびプロジェクトマネジメントを請け負った。
荒川区教育委員会は「未来を拓き、たくましく生きる子供を育成する」という目標を掲げ、夢につながる主体的な学びの推進として全国で初めて、2013年度から区内の全小中学校に1万台のタブレットPCを導入した実績がある。その後2019年度の更新を経て、この度2024年度に新たなChromebook端末更新(児童生徒1万4490台、教職員1197台)やM365 A5を利用した、強固なゼロトラストセキュリティの新システムの導入を行った。
従来は職員室に固定されていた校務用のPCと別にもう1台の端末を持ち歩く必要があったが、多要素認証による仮想デスクトップを利用することで校務支援システムを含む校務環境にセキュアにアクセスできるようになった。
その結果、PCを1台に集約し、校務環境と学習環境の両方を1台のPCで利用できるようになる。これにより、各教室や出張先、自宅でもセキュアに校務の業務を行える環境を用意した。OSを使い分けることで校務環境にある機微な情報を含むファイルが学習環境に流出しにくい仕組みになり、より強固なセキュリティ対策を構築した。
これらは文部科学省が示す「教育情報セキュリティポリシーガイドライン」に準拠し、強固なアクセス制御による対策を講じたクラウド・ネットワーク環境となる。また、学校ネットワークを新たに刷新して学校内部の幹線10G、ネットワーク機器も10G対応を導入し、高速かつ安定した通信が可能となった。オンライン教材の利用や高精細な動画の視聴、システムへの一斉アクセスでも通信が遅くなるといった現象を防ぎ、快適な授業を支援する。
これらの荒川区の教育ICT環境を複雑化・高度化するサイバー攻撃からデータやデバイスを守るために、セキュリティ監視センターから24時間365日体制で監視している。
学習eポータル「L-Gate」の新機能、統合データでPCを一括管理
荒川区では学習eポータル「L-Gate」を利用し、子どもたちの毎日の健康観察や授業アンケート、ドリルの学習履歴などさまざまなアプリケーションとのデータ連携が可能となる。この度、新たに「L-Gate」がGWSと自動で連携し、大量のPCを台帳管理できる新機能を搭載した。利用する学校・利用者名・ログイン履歴などのデータに加え「稼働中」「予備」「修理」など端末の状況や貸出先、導入年月、使用期間の詳細なステータスも登録でき、教職員の負担を軽減する。
異なるOSを自由自在に活用する最先端なハイブリッド環境
1台の端末からMicrosoft社とGoogle社の2つのOSをどちらも安全に利用できる環境を構築することによって、これまで生じていたさまざまな不便が解消された。これにより、顧客が以前から使い続けているさまざまなシステムや蓄積されたデータ、ファイルを廃棄することなく持続的に活用が可能となった。
不正アクセス防止、強固なアクセス制御へ対応する多要素認証技術
「教育情報セキュリティポリシーガイドライン」では不正アクセスの防止や電子証明書などを用いた多要素認証が必要である旨が記載され、教育委員会はガイドラインに沿った対策が求められている。荒川区では、内田洋行がサイバートラスト社の提供する端末認証サービスを選定し、Chromebook端末から仮想デスクトップを介して校務系システムにログインする際に校務系環境(M365 A5)の機能と連携し、電子証明書とID・パスワードを用いた多要素認証を実装した。
校務系と学習系の異なるシステム間でも、セキュアにデータの受け渡しを実現
校務系と学習系のネットワークにアクセス制御を導入した。これにより、校務系と学習系で、セキュアにデータファイルの受け渡しができる。また、校務系から学習系にファイルを受け渡す際には学校長や管理職の承認を必要とする運用ルールを定めて、効率的なセキュリティ監視を行っている。
キャッシュサーバー設置でネットワーク負荷軽減
約1万5000台の端末が一斉にデジタル教科書の利用やソフトウェアのアップデートを行う状況では、通信トラフィック量が増加し一時的にネットワークのパフォーマンスが低下することがある。この問題を解決するために、内田洋行が独自に開発したキャッシュサーバーを導入し、効率的なデータ配信を実現する。キャッシュサーバーはおもにコンテンツ配信システム「EduMall」のコンテンツやOSのアップデート資源を保存し、ネットワークの負荷を軽減する。
仮想デスクトップのコスト上昇を効率的に制御
仮想デスクトップは、利用状況に応じて仮想マシンの起動台数を細かく制御し不要なコストの発生を防ぐシー・オー・コンヴ社のシステムを内田洋行と共同で設計・構築している。これにより、効率的なリソース管理が可能となり、全体の運用コストを大幅に削減することが期待される。
ID統合管理で年次更新の名簿連携やデータの一元管理を実現
校務支援システムの名簿情報をもとにID統合管理システムに情報を取り込み、荒川区教育委員会に導入するすべてのアプリケーションと名簿連携を行う。これにより、名簿データ更新などの作業が不要となり、効率的な業務を実現する。
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