「シンキングツール」でお互いの活動を可視化
次に見学したのは「総合的な学習の時間」の授業だ。2学期はキャリア学習をテーマに、「新しい仕事を考える」というプロジェクトに取り組んでいる。
児童は、同じテーマの友だちとチームを組むか、個人でテーマを深めるかを選び、それぞれの方法で活動する。ここでもロイロノートが使われており、「シンキングツール」のプロット図を用いてプロジェクト達成までの道のりを段階的に考えていた。
今回の授業では、まずテーマごとに進捗を発表した。
「シニア向けレンタルロボット」を考えたチームは、ロボットの実現に向けて、図工・理科・算数など、教科で学んだ知識が応用できるとプレゼンした。鉱石が好きな児童のチームは、石を使ったアクセサリーづくりを提案。また「リサイクル」をテーマに、身の回りの余った紙袋や端切れなどを活用し、デコレーションした可愛らしいブックカバーやバッグなどを作るチームもあった。さらに、あるチームは大手アパレル企業の店舗で採用されている、無人レジで自動会計してくれるICタグからヒントを得て、「外出に必要なものにICタグを取り付けて忘れ物をなくす」というシステムを提案していた。
各チームの発表を聞いて、荒谷教諭は「新しい要素はどこか」「すでにあるサービスとどのように差別化しているか」といった質問やアドバイスを投げかけ、児童の考察を促した。
教室には児童が自由に使える教材もあり、先ほどのシニア向けレンタルロボットのチームは、CADソフトでモデリングしたパーツを3Dプリンターで出力し、プログラミングロボットを用いて、想定される動きなどを考えていた。いずれのチームも机上の構想だけでなく実際に形にする方法を模索し、いくつかのチームは「プロトタイプ」と言えるサンプルを作り上げていた。
授業の最後、荒谷教諭は「アイデアを0から1にするのは難しい。1から10にするという方法もあるので、自分たちに合ったやり方を見極めて取り組んでほしい」と、児童にアドバイスした。