英語の「理解」から「コミュニケーション力」の育成へ、進化する英語教育
2020年から新たな学習指導要領が順次適用されるにあたって、英語教育にも変化が出てくる。
高等学校の英語における変更点としては、”統合的な言語活動を通して「聞くこと」「読むこと」「話すこと[やり取り・発表]」「書くこと」の力をバランスよく育成するための科目(「英語コミュニケーションⅠ、Ⅱ、Ⅲ」)や,発信力の強化に特化した科目を新設(「論理・表現Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」)※”するとあり、英語の理解だけでなく、英語を用いたコミュニケーションができるようになることを目指す形だ。(※高等学校学習指導要領の改訂のポイントより抜粋)
2018年現在、まだこういった内容の授業を実施している学校は少ないが、先進的な取り組みもある。
今回レポートするセッションでは、英語でのプレゼンテーションを通してグローバルな人材育成に携わる以下の3名が登壇した。
- 日本福祉大学教授 影戸誠氏
- 立命館中学校・高等学校 国際教育部長 淺川行弘氏
- 東京国際大学 国際関係学部 准教授 五十嵐義行氏
最初に登壇した影戸氏は、「英語教育も大事だが『グローバル人材』を育てるというのをテーマにやっていく。ただし日本は島国なので、98%が日本人という環境の中でどう力を身につけるのか」とセッションの核となる問題提起をしたうえで、自身の発表に入った。
「英語を使って戦い、和解し、深く感じる場を実現したい」―日本福祉大学 影戸誠教授
「世界に対してきちんと発信できる若者を育てるには、どうしたらいいのか、今日はみなさんと一緒に考えていきたい」
こう話してセッションをスタートした影戸氏は、日本福祉大学において国境を越えた協働プレゼンテーションの取り組みを行っている。その活動「国際連携プロジェクトWYM」の内容を中心に、グローバル人材が育つ教育の場について考察した。
「WYM」はWorld Youth Meetingの略称。毎年アジア各国の学生たちが日本に集い、プレゼンテーションを協働作成して発表し、交流を深めるプログラムだ。オンライン会議での事前交流や、来日後の協働作業、ホームステイなどを通して、異文化理解を深め国際言語としての英語を身につけていく。
影戸氏は、グローバルに活躍できる若者の育成には「学ぶだけではなく、英語を使って戦い、和解し、深く感じる場」が必要になると言い、その1つとして協働プレゼンテーションがあるとした。
「英語を使った活動の中で、より深く(相手を)知っていくっていうこと、その国々とどう付き合っていくんだろうといったことを考え身につける。"インタナライズ(内面化)"が英語教育とつながるべきじゃないか。今まで高校生や大学生は、そういった活動からは非常に遠かったが、そこを何とか実現したい」と活動の背景を話した影戸氏。そのためには「ICT活用もキーになる」とポイントを説明した。
では、グローバルに物事を伝えていく力を養うにはどうすればよいのか。