高校時代から体験することで、さまざまな分野での道しるべになる
──さまざまなプログラミング言語がある中で、教材としてUnityが優れているのはどのような点でしょうか。
鶴岡:一般的なプログラミング言語では「最終的な完成形に対してどのようにプログラムを組んでいくか」を考えることになります。一方、Unityは最初にキャラクターがあり、自分が「つくりたい」ものに対して、どのように形にすればよいのかを考えられる点が教材として優れていると考えています。
──生徒が「つくりたい」という思いを、直感的に形にしやすいということですね。
鶴岡:その通りです。つくりたいものができたとき、モデリングができあがったときは、生徒の気持ちがワーッと盛り上がります。完成したときの高揚感や満足感というものは非常に大切で、生徒の活動にとってプラスに働くと考えています。
また、参加した生徒の中には、医学部を目指しており、「3Dモデリングは医学にも関わっている」というところから、Unityに興味を持ったケースもありました。このように、さまざまな分野において3Dが広がっている中で、生徒に体験してもらう機会は非常に重要です。Unityを一度体験してみるだけで、生徒がこれから自分の夢を追いかけていく際に「このような分野でも3Dを活用できる」といったイメージができるようになります。高校の段階で体験するからこそ、その道しるべになると思います。
──藤岡さんご自身としては、現在の大学での学びや将来の進路にどのような影響がありましたか?
藤岡:私の専門は3Dモデリングですが、プログラミングのプラットフォームを学んでおくことによって、「どのようなモデルをつくったら使いやすいか」がわかるようになりました。実は、高校時代は数学や物理が苦手だったんです。けれど、自分の目指す道には必要で、数学とか物理ができて初めて作品ができると考えました。頑張った甲斐があり、達成感もあったので、勉強のモチベーションは上がったと思います。
また、個人的にはUnityで制作した作品をポートフォリオにまとめ、大学入試にも活用できたので、その点でも非常に役立ちました。
鶴岡:Unityを使っていて物理計算や数式が出てきたとき、生徒は「物理ってこんなふうに使うんだな」「数学って結構大事なんだ」と気づきます。「実際にUnityでものを動かすからこそ、学習につながっていく部分があった」と話している生徒も複数名いました。
Unityを学べる環境は保護者からの期待も高い
──今年でSHOTOKU TECH ACADEMYが開講して3年目になりますが、校内外の反響はいかがですか。
鶴岡:当初は高校生のみを対象としていましたが、中学生で「Unityを学びたい」と熱望する生徒もいたため、昨年度からは中学生も受け入れています。
また、意外だったのが、保護者の方からの関心がとても高かったことです。学校見学に来ていた保護者の方も「高校生からUnityを学べる機会があるのはとてもよいですね」と興味を持ってくださりました。このように「Unityを学べる環境がある」ということをきっかけに知っていただくことは、学校にもメリットがありますし、今後はさらにその機会が増えてくると考えています。
──最後に、ご自身も卒業生である藤岡さんから、改めてUnity Developerコースの魅力を伝えていただけますか。
藤岡:やはりプログラミングというと「難しそう」とか「数学的で、自分には無理そう」と思ってしまう人も多いと思います。けれど、私自身がそうだったように、Unityを実際にやってみると意外と簡単なことに気づくと思います。まずは「一度触ってみてほしい」というのが私の願いです。
そして実際に触って動かしてみると、きっと「面白い!」と感じられるようになります。自分でプログラミングしてキャラクターが動くという楽しさを、ぜひ知ってほしいと思います。
──ありがとうございました。
さいごに
高校で「情報Ⅰ」が必履修になったものの、限られた授業数の中では、本格的なプログラミングまで踏み込むことができないという現状がある。聖徳学園高校のように、課外活動として希望者向けに講座をつくることで、プログラミングに意欲のある生徒の受け皿だけでなく、興味のある未経験者へのきっかけづくりにもなる。特に、人気のゲームやアプリの主要な開発環境として知られるUnityは中高生にとって親和性が高く、モチベーションを保ちやすい。生徒に、もっとプログラミングを学ぶ機会を与えたいと検討している学校は、ぜひ同校の事例を参考にしてほしい。
プロの現場でも使われているUnityを学生は無料で利用可能!
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