図書室の改造から始まった、学びの基地「Base_C」
2018年からiPadの活用を始め、今や日常づかいするまでに浸透した神奈川県川崎市の洗足学園小学校は、日本でも有数のICT活用推進校として注目されている。毎年、同校で開催されている公開授業の「Open Day」は、日本全国から教育関係者が駆けつけるほどの注目ぶりだ。
その洗足学園小学校で新たな取り組みとしてスタートしたのが、図書室を改造した「Base_C」だ。「Base」という名の通り「子どもたちの好奇心をかきたて、気になることを追求できる。創造・発信ができる子どもたちの学びの基地」をコンセプトにしている。
2023年4月にオープンしたBase_Cは、1年生の教室と廊下をはさんだ校舎の1階にある。開放的な明るい空間には、教員が選んだこだわりの書籍や珍しい図鑑、大型絵本などが飾られたオープンな書棚のほか、7台の「iMac」、デジタル地球儀の「SPHERE」などが設置されている。壁面には物理学の基礎を学べる知育玩具「Try&Rolly」が用意され、さらにロボットたちが子どもたちの遊びと学びの相手になる。
赤尾氏は「これまで本のみを置いていたベーシックな図書室を『現在の教育のニーズに合うものに改修したい』という思いが始まりだった」と話す。
設計にあたり、まず念頭に置いたのは「子どもたちにとって、学校の図書室がどうあるべきか」ということだ。「本校の児童には読書好きが多く、自主的に地元の図書室などを利用したり、家庭で本を購入したりしている。また、本校ではデジタルの本が自由に読めるサブスクリプションも契約しており、『あえて、子どもに人気のある本をそろえて貸し出す必要はないのでは』と考えた」という。
そこで「本当に読んでほしい本」「手に取ってほしい本」が目立つ図書室にし、情報の発信地かつ情報収集の場として、紙の本にこだわらずデジタルツールを置く方針が決まった。さらに「子どもたちがいろいろなことに興味を持つことができる場」として、STEAMを意識した場所づくりを行うことになった。