リクルートと全国高等学校PTA連合会は、高校2年生とその保護者を対象に実施した、進路に関する考え方やコミュニケーションの実態についての調査結果を、2月15日に発表した。同調査は、2023年9月15日~10月13日の期間に行われ、高校生1752名、保護者1457名から有効回答を得ている。
調査対象者のうち高校生に、進路についての話を保護者としているかを尋ねたところ、「よく話をする」は22.8%を占めており、「ときどき話をする」と合わせた割合は83.0%に達した。保護者も、進路について「よく話をする」と「ときどき話をする」を合わせた割合が89.4%と、どちらも8~9割を占めている。
高校生に、進路について保護者とどのような話をしているかを尋ねた質問(複数回答)では、「高校卒業後の具体的な進路(学校、学部・学科、就職先)について」(64.4%)がもっとも多く、「将来どんな職業に就きたいか」「将来の自分の夢」などが50%超でそれに続いた。
高校生に、進路選択に関する保護者にあてはまる態度を尋ねたところ、「私の考えを尊重する」(70.4%)、「あたたかく見守っている」(69.5%)、「相談にのってくれる」(67.9%)が上位を占めている。
保護者に、子どもと進路の話をするときに使う言葉を尋ねた質問(複数回答)では、「自分の好きなことをしなさい、やりたいことをやりなさい」(65.9%)が他を大きく引き離して最多となった。一方で、「資格取得を目指しなさい」「技術を身につけたほうがいい」といった具体的な方向性を示す言葉や、「勉強しなさい」「頑張れ、あきらめるな、やればできるよ」といった声掛けは減少している。
高校生に、保護者とのコミュニケーションについて尋ねたところ、「『あなたはどうしたい』『あなたはどう思う』とあなたの意見が尊重されている」(73.6%)を挙げる回答がもっとも多かった。
将来の職業に対して、AIの発達といった技術革新の普及・発達が与える影響についての心境を尋ねた質問では、「期待している」と「どちらかというと期待している」を合わせた割合が、高校生では61.2%、保護者では53.2%を占めている。期待する理由としては、高校生では技術革新によって人間の「できること」が増える可能性や、効率がアップするという意見が多く寄せられた。保護者では、子どもの世代ならそういった進化に対して、十分に適応できると考えている、という意見が多い。不安な理由としては、AIによって人間の職業選択範囲が狭まる可能性を危惧する意見がみられた。
高校生に、自身の通っている高校が教育改革への対応を行っていると感じているかを尋ねたところ、「感じている」という回答が38.9%に達している。
自身の通っている高校が、教育改革への対応を行っていると「感じている」と答えた人に、対応を行っていると感じられる取り組み内容を尋ねた質問(複数回答)では、「生徒が自らテーマを設定し、調べたり解決に向けて取り組む探究学習が重視される」(61.5%)、「教員が知識を教え込む授業から、生徒が主体的に考え、学び合う授業に変わる」(56.7%)、「ICT技術を活用し、1人ひとりが最適な学習内容と進度で学べるようになる」(51.5%)が上位を占めた。
高校生に、将来必要とされると思う能力を尋ねたところ(複数回答)、「主体性」(51.5%)が最多となった。一方で、自身が現在持っていると思う能力を尋ねた質問(複数回答)で「主体性」を挙げた回答は25.2%に留まっている。同じく、将来必要とされると思う能力で2位となった「実行力」(37.2%)を、現在の自身が持っていると思うという回答は12.0%に留まった。
保護者に、自身の子どもが通う高校が「探究学習」に取り組んでいると感じるかを尋ねたところ、「感じている」という回答は31.2%となっている。高校生に「総合的な探究の時間」を通じて、自身の在り方や生き方、興味関心への理解が深まったかを尋ねた質問では、「感じている」という回答は25.9%となった。
高校生に、自身の通う高校におけるICT教育の活用状況について尋ねたところ、「学校全体で組織的に活用を推進している」が54.3%に達し、「学年や課程・学科・コース・教科単位で活用している」(29.9%)を合わせた割合は84.2%を占めている。自身の通う高校で、ICTが「活用されている」と答えた人に、ICT活用でよかった点を尋ねた質問(複数回答)では、「学校からの連絡がメールなどのオンラインになった」(40.7%)が最多となった。
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