駿河台学園(駿台)は、エスエイティーティー(SATT)と共同でシステム開発を行った、記述式問題対策AI学習教材「スルメ」で特許を取得したことを、12月26日に発表した。
今回特許を取得した「スルメ」は、学習者が問題を解いていく際に「ヒント・アダプティブ」という形式で学習者の学力状況を測定しつつ、個人の理解度に応じた最適な「ヒント」をAIが自動で提示する仕組みとなっている。
学習効果を高める最大のポイントである「ヒント」は、難関大入試で問われるハイレベルな記述式問題を熟知した駿台のベテラン講師陣が作成する。学習者は、解答に行き詰った際にこの「ヒント」を段階的に確認していくことで、解くための「考え方」の道筋を学び、効率よく思考力を養える。
従来「スルメ」には学習者が必要に応じて「ヒント」を閲覧可能なシステムが準備されていた。今回の特許取得は「もっとも学習効果が高くなる予測正答率は50%程度である」という電気通信大学の植野真臣教授による研究に基づいている。学習者にとって予測正答率をどの程度にすればもっとも学習効果が高くなるかを科目ごとに分析したところ、最適な予測正答率は全科目一律で50%ではなく、科目特性によって異なることが示唆された。
そこで駿台とSATTは、学習者が正答に辿り着く確率を予測するAIを構築。学習者にとって学習状況および科目特性に応じて、もっとも学習効果が高くなるよう「ヒント」によって最適な難易度調整を行うシステムを開発し「スルメ」に導入している。
こういったアイデアの新規性や、それを証明するデータが認められたことから、今回の特許取得に至ったという。
今後は「スルメ」学習者のデータによって得られた分析結果を活用していくことで、より最適な予測正答率によって高い学習効果を生み出せるようになる。すでに駿台で利用している中では、偏差値が8程度伸びた生徒のグループもあり、個別にみると偏差値が20~30伸びている学習者も確認された。利用対象者を特定のクラスからさらに範囲を広げて、より多くの生徒に「スルメ」を使った学習効果を実感してもらえるよう環境を整えていく。
また、現在運用を開始している「物理」「化学」に加えて、4月からは「数学」の記述式問題にも「ヒント・アダプティブ」形式での運用を拡充する。また「英語」についてもリスニング問題、文法問題において同様の開発を検討している。
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