凸版印刷と、BPS、Lentrance、東京書籍、帝国書院、新興出版社啓林館の6社は、デジタル教科書の活用による教育DX推進を目的とした「こども未来教育協議会」を、9月6日に設立した。
同協議会は、2024年4月からの小中学校におけるデジタル教科書本格導入を見据えて、デジタル教科書を起点として学びをつなぐ新サービスである教科書ポータル「EduHub(エデュハブ)」の構築や、教育DXに関わる提言活動などを行う。「EduHub」の開発を担う凸版印刷と、教科書発行者・教育ICT関連事業者が協働することにより、各社の技術やノウハウを融合し、こどもを中心とした教育DXを推進する。
文部科学省が定めた学習指導要領で示されている「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善の推進や、特別な配慮を必要とする児童生徒等の学習上の困難を低減するため、2019年から一定の基準の下、デジタル教科書を紙の教科書に代えて使用することができるようになった。2024年度以降は、小学校5年生から中学校3年生までの全児童生徒に対して英語のデジタル教科書を提供し、次に導入する算数・数学や、それに続くその他の教科についても、学校現場の環境整備や活用状況等を踏まえながら段階的な導入が予定されている。そのため、2024年度以降のデジタル教科書の在り方を見据え、教育効果の検証や、活用促進施策、教育データの利活用の加速、LMS (学習管理システム)を含む教育ICT各社との相互運用性を高めることなどが求められている。
一方で、学びのDXが推進される状況下において、サービスごとにログイン先があるため、児童生徒は複数のデジタル教科書やデジタル教材を授業中に簡単に開くことができず、使いづらさが生じたり、教職員が児童生徒情報を何度も登録する作業が負担になったりと、教材やサービスの多様化によって課題が生じている。
同協議会の設立により、これらの課題を見据え、児童生徒、教職員にとって利用しやすい学習環境の実現に取り組んでいく。「EduHub」を通じてさまざまなデジタル教科書・教材等がひとつにつながることで、サービスの併用による煩雑さの解消とともに、新しい学習体験を提供し、分野横断的な学びや探究的な学びなど、デジタルならではの利点を活かした教育DXを推進する。
主な活動内容は以下の通り。
1.教科書ポータル構築と導入の推進
同協議会の参画企業が連携し、凸版印刷が開発する新サービスである教科書ポータル「EduHub」により、デジタルを活用したこどもの学びを支えるポータルサイトの構築を推進する。LMSなどとの相互連携により、各種教育サービスの機能向上に寄与し、同協議会の参画企業は「EduHub」の運用方針・普及活動・ビジネスモデルの協議を行っていく。
2.教育DXに関わる提言活動
学びのDXに向けた課題解決や学びの場のさらなる発展を目指し、シンポジウムや講演会開催などによる提言活動を行う。
「EduHub」はデジタル教科書を起点として学びを支える教科書ポータル。同協議会の参画企業が連携し、凸版印刷が開発する。同サービスにログインすると各社のデジタル教科書・教材が一覧表示され、すぐに開くことができる「本棚機能」や、教科書と教材を相互につないで、今見ている教科書ページに関連した教材を表示する「教科書・教材連携機能」、これまで教科書発行者・教材会社ごとに何度も繰り返し行っていたユーザー登録作業を1回に集約でき、教職員の業務負荷を軽減する「登録支援機能」などにより、すべての児童生徒の学びをサポートする。サービスの提供開始は2024年3月を予定している。
同協議会は、教育DXの推進に向けて各社のノウハウ・技術を掛け合わせたサービス開発、議論、提言などさまざまな活動を行う。さらに、全国の小中学校への「EduHub」の導入を推進して学校のDXを支え、すべてのこどもの可能性を引き出す学びの実現に取り組み、デジタル教科書の活用促進に向けて、今後も多くの企業・団体の参加を募っていく。
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