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教育現場でのICT活用事例紹介(大学・専門学校)

若手職員中心の「業務のDX推進プロジェクト・チーム」を公募で結成! 東北大学が進める時代に即したDX

 コロナ禍以前よりワークスタイル変革や業務のデジタル化に力を入れていた東北大学は、2020年度に国立大学法人で初となる、学内公募による「業務のDX推進プロジェクト・チーム」を結成し、大きな成果を出している。パンデミックをきっかけにDXを迫られ、現在も課題を抱えながら模索する大学が多い中で、時代の最先端を行くDX推進プロジェクトはどのように実現したのか。プロジェクトの統括を担う藤本一之氏を中心に、プロジェクトチームのメンバーに話を伺った。

東日本大震災から新型コロナ危機へ──時代に沿ったDXを推進

──まずは東北大学で「業務のDX推進プロジェクト・チーム」が誕生した経緯についてお聞かせいただけますか。

藤本氏(以下敬称略):なんと言っても、新型コロナウイルスの流行による「危機」が大きなきっかけでした。国立大学のカルチャーは長い歴史の中で築かれてきたものであって、そう簡単には変われるものではありませんが、コロナ危機を前に、有無を言わさず変わっていかざるを得ない状況となったのです。

 そのような中、新型コロナ危機によって固定観念が変化した流れを踏まえ、その先にある新常態のもとでの社会変革を先導する新たな大学の姿を目指して、学生・教職員が、今まで以上に学業や教育・研究活動に専念できる場と、魅力ある職場環境の創出を目的として、業務のDX推進プロジェクト・チームが立ち上がりました。そして、緊急事態宣言下でも教育機関としての恒常性を保つために、職員のテレワークやオンライン授業を開始するなど、デジタル化が進みました。これらをスムーズに進めることができたのは、2020年以前から本学にDXの素地があったからです。東北大学は2016年の8月、全国の大学に先駆けて事務職員のパソコンを仮想クライアントへ移行していました。

コロナ禍前の2016年よりDXに取り組んでいた東北大学
コロナ禍前の2016年よりDXに取り組んでいた東北大学

 これには、東日本大震災を経て、有事の際のインパクトを最小限に抑えようという意図がありました。「今まで通りの仕事のやり方が、ある日急にできなくなるかもしれない」ということを身をもって経験していたからです。また、2015年に働き方改革関連法案が提出されたことを受け、「これからはテレワークなど、これまでとはまったく違った働き方への対応も必要になるだろう」という予測もありましたので、人事企画部とも話して方針を固めていきました。おかげで2020年以降も時代の流れに沿ってDXを推進することができました。

国立大学法人東北大学 情報部デジタル変革推進課課長(PJ統括)藤本一之氏
国立大学法人東北大学 情報部デジタル変革推進課課長(PJ統括)藤本一之氏

──2020年6月には「東北大学オンライン事務化宣言」を発表されました。DXにはさまざまな切り口があると思いますが、まず「事務のDX」を強調されたのはどのような理由からでしょうか。

藤本:先述の通り、もともとデジタル基盤があったので、コロナ禍でも即座に、すべての事務職員がテレワークできる状態だったことは全国に誇れることだと考えました。他大学では職員の出勤を控えたことにより勤務ができず、業務が回らないといった状況もあったようですが、東北大学の職員は皆、自宅で仕事ができていました。その状況を踏まえて「東北大学がアフターコロナの世の中まで見据えた新しい価値を創造したい」という方針がまとまりました。パンデミック後の将来も見据えた上で出した宣言でした。

──その後、プロジェクトの推進体制はどのように作られていったのですか。

藤本:オンライン事務化を宣言したからには、体制を整えなければいけません。まずはDX推進プロジェクトのトップとして、国立大学法人で初めて「CDO(Chief Digital Officer)」を創設しました。また、DXとは「デジタルを活用した業務の変革」であることから、情報を担当する部署だけでは立ち行かないと考え、学内公募で人材を募集し、2020年7月に全48名の「業務のDX推進プロジェクト・チーム」が発足しました。現在はさらにメンバーが増え、若手職員を中心に総勢約60名が参加しています。

東北大学における業務のDX推進体制
東北大学における業務のDX推進体制

 公募した背景には「『変えたいと思う人』が手を上げて集まってくるから変えることができる」という事務機構長の強い思いがありました。また「若い人の力を引き出していかなければ、東北大学の運営は持続可能なものとはならないだろう」という考えもあり、公募を選びました。

 ただ、最初は「5人くらい集まればいいよね」と話していたくらいで、ここまで人が集まるのは予想外でした。人数を絞るか悩みましたが「大学の力になりたい」と手を上げるだけでも勇気のいることなので、その思いに敬意を表し、全員プロジェクトに入ってもらうことで、大きなチームになりました。

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新たな課題に合わせて組織体制も柔軟に変えていく

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

 IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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