学校独自の方針で、BYADによる1人1台のiPadを導入
2023年6月某日。千葉県立市川工業高等学校(校長:相浦敦氏、以下、市川工業高校)の1年生は、初めての「iPadの日」を迎えた。生徒たちが廊下に2列で並ぶ中、すぐ横の教室では納入業者である内田洋行のスタッフが、生徒一人ひとりの注文に合わせたiPadに加えて、Apple Pencilやキーボードなどのアクセサリをそろえて待機している。
「前の人から順番に入ってください」という先生の声がけで2人ずつ教室に入り、内容物を確認してiPadやアクセサリ一式が入った袋を受け取る。ある生徒は「初めてのiPadなので楽しみです」と、満面の笑顔で受け取った感想を伝えてくれた。
市川工業高校は、全日制の機械科、電気科、建築科、インテリア科と、定時制の工業科がそろう工業高校だ。電気科主任の片岡氏のもとICT活用を積極的に進めており、2023年度の1年生からは、全学科でBYAD(Bring Your Assigned Device:学校が指定したデバイスを各家庭が購入し、授業などで活用すること)によるiPad活用をスタートした。生徒は第9世代や第10世代の「iPad」「iPad Air」「iPad Pro」など、全7機種から選ぶことができる。タッチペンは全学科で購入する必要があり、Apple Pencilのほか、サードパーティ製からも選ぶことができる。さらに、電気科とインテリア科ではキーボードが購入必須となっている。
これらの機種・アクセサリの中から、生徒のニーズに合わせて家庭で購入する製品を選ぶ。購入費用も幅があり、コストを抑えればおよそ8万円、最上位モデルの組み合わせを選ぶと25万円ほどになるという。
片岡氏は「前年度6月の段階で、県内の中学校に『来年度の入学時には、家庭でiPadなどを購入していただく』と連絡したほか、体験入学や入学説明会でも保護者や生徒に説明を行った」と述べる。千葉県の県立高等学校は原則、各家庭が用意した端末を活用する方針をとっており、端末が用意できない生徒向けに各学校には貸出用端末としてWindowsの端末が数十台整備されている。しかし同校は独自の方針で1人1台端末をiPadに決定し、電気科では先行して2021年度から全学年でiPadを導入している。