静岡県三島市教育委員会が「kintone」を採用、市内公立小中学校の全教員にアカウントを配付

　サイボウズは、同社が提供している「kintone（キントーン）」が静岡県三島市教育委員会で採用されたことを、5月26日に発表した。今回の導入では、同市教育委員会の「kintone」のユーザーアカウントが同市内の全公立小中学校21校の全教員に配付され、各学校の校務や教育委員会と各学校間の業務に活用される。

　今回の導入は、学校BPR（Business Process Re-engineering：学校の働き方改革）を目的とした経済産業省による採択事業「未来の教室」において、同社が2021年7月から2022年2月に実施した同市内の公立小中学校および同市教育委員会での実証事業を経ての本格導入となる。この実証事業では、同市内の各公立小中学校が同市教育委員会に校舎の修繕依頼を「kintone」で完結できるようにシステムを構築した。

　従来は各学校の教員が表計算フォーマットを利用して修繕依頼をしてきたが、「kintone」のアプリ上で依頼登録できるようにしたところ、学校側の依頼作業時間が1件につき15分程度短縮された。2022年度の同市内公立小中学校の修繕依頼件数975件に対し、依頼作業時間が全体で約244時間削減されたと見ている。また修繕依頼の記入漏れ、それにまつわる問い合わせ業務などが削減されたことで、業務の効率と質が大いに向上した。

　この実証事業の結果を踏まえてサイボウズと同市教育委員会で学校BPR実証事業を実施し、同市内公立小中学校21校分の生徒の問題行動報告や水道検診業務、備品の管理などにも「kintone」を活用したところ、同様に業務が効率化されたため、今回の本格導入につながった。

活用概要

　具体的には、生徒の家族構成や連絡先、通学路などを記入する家庭環境調査票、心身の健康状態を記入する保健調査票などの調査票、各種問診票（心臓健診問診票、結核健康診断問診票、脊椎および四肢問診票）、タブレット使用同意書などの受付・管理に「kintone」が活用される。これまで家庭環境調査票と保健調査票、各種問診票、タブレット使用同意書は新1年生の保護者が用紙に記入して学校に提出し、学校は受け取った用紙をファイルなどで物理的に保管していた。「kintone」の導入により、保護者は外部連携サービスを通じてPCやタブレット、スマートフォンなどでの記入・提出が可能になり、学校は「kintone」上で受付・管理できる。

「kintone」導入による効果

　家庭環境調査票、保健調査票、各種問診票、タブレット使用同意書を「kintone」で管理することで紙が不要になり、同市内の公立小中学校全体で年間約1万枚以上のペーパーレス効果と書類の印刷に要する84時間程度の時間削減が想定される。

　家庭環境調査票は保護者から提出された紙の情報を教員が校務システムへ転記する作業が必要だったが、「kintone」にデータが集約されることでこの作業が不要になり、同市内の公立小中学校全体で約450時間の作業時間が削減される。

　現場の教職員からは「紙からデータになったことで、検索機能を使って必要な情報を集めやすくなった」「書類の破損や紛失のおそれがなくなった」「ファイリングに気を配ることが不要になり、保健室などの保管場所まで足を運ばず、PCなどからアクセスができる」などの声が寄せられている。同市教育委員会および同市内の公立小中学校では今後も「kintone」の用途を広げ、校務のデジタル化を推進していく。