みんなのコードは、宮城教育大学附属小学校と共同で実施している「コンピュータサイエンス(CS)教育」の授業の実践・研究・カリキュラム開発を行う実証研究プロジェクトに関する、2022年度の報告書を4月27日に発表した。同実証は2020年度に開始され、3年間に渡って取り組んできたもので、今回発表された報告書はこれまでの実証研究の総まとめとなっている。
宮城教育大学附属小学校は、2017年度からICT教育の取り組みを開始し、2018年度にはICT教育とプログラミング教育が各教科の中で実施されていた。しかしながら、児童がコンピュータの特徴やよさを捉えられておらず、コンピュータの仕組みを意識せず、直感に頼った操作を行ってしまっており、児童の学びが断片的になってしまうことに限界を感じていた。
このような背景から、2020年度から教科として独立した「コンピュータサイエンス科」を立ち上げた。コンピュータの仕組みや情報の科学的理解を系統的に学び、デジタル社会の歩き方を児童自身が見出していくことで、操作習熟やコンピュータとの適切な関わり方を含む、確かな情報活用能力を育成することを目標に掲げ、3年間の実証研究を開始。3年間のコンピュータサイエンスの授業を通して、児童にとって原体験となるような体験的・探究的な活動を設定した授業を実施してきた。
3年間の実証研究において、低学年では体験的な学習を進め、中学年では体験的に学んだことを生かして情報の活用手段の幅を広げていき、高学年ではこれまで培ってきたコンピュータとの適切な関わり方を生かしつつ、身の回りの課題を解決するためのプログラムを作成している。学年が上がるにつれて、プログラムの制作にとどまらず、児童同士でフィードバックを行い、新たなアイデアが生まれ、自分の作品のブラッシュアップを行うことができるようになった。
児童に対して行ったアンケートにおいて、「コンピュータについての勉強は、大人になったとき役に立つと思うか」と尋ねたところ、同実証を開始した2020年度と比較して肯定回答の割合が増加している。とりわけ、2022年度の6年生は5年生だった頃(2021年度)と比較して、「とてもそう思う」が74%から90%に増加している。
「パソコンやタブレットなどのコンピュータのことを勉強することは大切だと思うか」を尋ねた質問では、1年目から6年生まで、どの学年も約8割が肯定回答となった。
今後、同校は令和5年度研究開発学校新規指定校として、抽出された各教科などの主要な概念を踏まえつつ、各教科などの特質に応じてICT機器や情報手段を適切に活用する活動の充実を図る。さらに学習の基盤となる資質・能力を育成していく新教科(「小学校情報科(仮称)」)の目標や内容の構成・系統などを構築するための研究開発を進めていく。
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