なぜ今、新しい情報教育が必要なのか
これまでの情報教育と言えば、「情報モラル」の授業や講話などで主に「危険だからやってはいけない」禁止事項を教えていました。
スマートフォンが急速に発展したのは2010年前後ですが、例えば今から20年前はインターネットにつながる携帯電話が登場し始めた時代で、音楽や動画サービスはもちろん、電子マネーや地図機能なども搭載されていませんでした。デジタルが今のように日常生活に浸透しておらず、子どもたちにとっては特別な機会でのみ触れるものだったため、禁止事項を教える授業内容でも大きな問題はありませんでした。
しかし、社会のデジタル化が進み、電話帳や地図、「LINE」のようなメッセージアプリ、「Instagram」といった写真共有アプリなど、生活のあらゆるものがタブレットやスマートフォン上で統合され、インターネットは日常生活に浸透しています。
学校でもGIGAスクール構想に基づく端末配付が行われ、日本全国の小学校で1年生からタブレットなどの端末を持つことが当たり前となりました。さらに、スマートフォンやタブレットだけではなく、テレビやゲームもオンラインでつながっているため、インターネットは子どもにとっても生活に欠かせないツールとなっています。
このように、さまざまな機器からインターネットへアクセスできるようになりましたが、知識や経験の少ない子どもたちは、検索で得た情報を鵜呑みにして拡散したり、有害サイトの情報登録の誘導に従ってしまったりと、起こり得るリスクを想像できず、好奇心に従って行動してしまう傾向があります。
また、学校で配られる端末にはセキュリティがかかっていますが、「セキュリティが情報環境を守っている」という実態を学ぶことは少なく、危険かどうかの判断ができないままという現状もあります。
子どもたちは、インターネットを活用する際には注意が必要なことを学び、デジタル社会でどのように行動するべきなのか、社会にあふれる膨大な情報をどのように取得・判断・活用していくべきなのかを考える「情報リテラシー」を身につける必要があります。