プログラミング必須化に向け、まずは指導員を養成する
「プログラミング指導教員養成塾」は、みんなのコードが初めて開催する指導者養成コース。公立小学校教員を対象とし、参加は無料。参加した教員が本年度2学期に実際の授業を実施することを目標にした全7回のコースで、8月中旬予定の4回目で模擬授業を行い、11月後半の最終回はその報告会となっている。
一期生として参加する37人は、チラシやWebサイトの告知をみて集まった教師が中心。三重県から来たという参加者もいた。なお、東京会場のほか、地方在住で通塾が難しい参加者向けにはオンラインコースも実施する。
みんなのコード代表理事を務める利根川裕太氏は、「2020年必修化を前に、足りないことだらけ。研修の機会、カリキュラムや教材、指導案、予算と足りないことは山ほど」と言う。これらをヒト・モノ・カネに分類し、最も重要で、かつ難しい「ヒト」にフォーカスする、というのが養成塾の立ち上げに至った経緯だ。とはいえ、全国に2万校ある小学校には約40万人の教師がいる。全員にリーチすることは現実的ではなく、プログラミング教育に詳しい指導員をまずは養成し、指導員が学校内で授業の見本をみせたり助言したりすることで、2020年に向けた準備が進むのでは、というのが狙いだ。
利根川氏は、文部科学省が次期学習指導要領に入る「プログラミング的思考」があいまいであることも言及する。実践と研修が必要だが、個人で実践しても検証しにくい。そのため、塾としてグループで進める必要があると思うに至った理由のようだ。「先生たちは皆忙しい。日々の業務に中断されがちです。やりきるためにみんなで一緒に頑張りましょう」と利根川氏は集まった一期生に呼びかけた。
「今ある過程の中で無理なく取り入れられたら……」
指導者養成主任講師を務める竹谷正明氏は、養成塾のプログラムについて「知る」(必修化の背景を理解する)、「学ぶ」(具体的な授業のイメージを掴む)、「感じる」(実際に授業を実施する)、「広める」(周囲に広める)の4つのステップで進めていく、と説明する。
「この講座自体が主体的、対話的で深い学びになるように心がけたい」という竹谷氏。具体的に、1)参加する教師が自分のやりたいことをやれるように支える(主体的)、2)一緒に話し合い、考え合いながら授業づくりを進める(対話的)、3)「プログラミング教育で子どもに力をつけるとはこういうことか」と実感できる(深い学び)、の3つを目指すとした。
初回のこの日は、最初のステップである「知る」がテーマ。参加者は1グループ3~4人の4グループに分かれて、なぜ興味を持ったのか(過去)、どんな取り組みをしているのか(現在)、どんなプログラミング授業を行いたいか/授業により子どもにどのようになって欲しいか(未来)、などをテーマに話し合った。
参加者からは、「特別支援の担任として、論理的思考などを通級で役立てることができると良いが……」「プログラミングありきの授業ではなく、プログラミング的思考を学ぶことで、こうなって欲しいと思い描きながら使うことが大切では……」「今ある教育課程の中で無理なく取り入れられて、かつ子どもたちにいろいろな思考が育つ使い方ができるという位置付けが良い」などの意見が聞かれた。
次回以降は、2つ目のステップの「学ぶ」で先行事例の紹介、教材体験、模擬授業見学などが予定されており、3ステップ目の「感じる」では、模擬授業の実施、授業プラン構想、授業実施を行うことになっている。そして4ステップ目「広める」で、校内研修などで広めてもらう。