慶應義塾とビズリーチは、未来の新産業創出支援を目的とした連携協定を、12月15日に締結した。同提携によって、慶應義塾大学発のディープテックスタートアップの創出を推進する。
同提携では、「慶應版 EIR(客員起業家)モデル」を構築し、
- 起業を目指す研究者と副業・兼業の客員起業家の、ビズリーチ上でのマッチング
- ビズリーチの人財活用プラットフォーム「HRMOS(ハーモス)」シリーズを活用した客員起業家のデータベース化
を実現することによって、起業前フェーズから経営プロ人材への直接のアプローチを可能にする。
同モデルにおける“客員起業家”は、研究者に伴走しつつ起業を目指す経営プロ人材を指す。起業経験者や新規事業立ち上げ経験者など「0→1」フェーズに必要な事業計画策定、マーケティング、ファイナンスといったスキルを持ち、起業の際には経営者(CEO/COO)のポジションを担うことを想定している。また、形態を副業・兼業とすることで、経営プロ人材は転職することなく、大きな可能性を秘めた大学発シーズに起業前から関われるようになる。
同モデルを通じて、将来的に世界を変革する可能性を秘めたディープテックを基盤とするビジネスによって、グローバルで活躍できる世界レベルのスタートアップの創出を目指す。
あわせて、「慶應版 EIR(客員起業家)モデル」第1弾として、最先端の「ナノカーボンを用いた新しい集積光(ナノカーボン光源)デバイス」の世界初の実用化を目指す、慶應義塾大学理工学部物理情報工学科の牧英之教授とともに起業を目指す客員起業家の募集を、12月15日にビズリーチにて開始した。
光源技術は、さまざまな産業や生活を支える基盤技術の1つであり、牧教授の研究成果は赤外分野で世界を席巻する可能性を秘めている。具体的には、ナノカーボン光源を用いた赤外分析装置は従来の装置と比較して10倍の空間分解能を備えており、希少物質の探索、新たな医薬品や材料の開発、海洋汚染が懸念されるマイクロプラスチックなどの精密な環境分析に役立つ。また、ナノカーボン光源は半導体のようにチップ上に集積可能で、分析装置の大幅な小型化を実現できるので、場所を選ばずに家庭などでも赤外技術を活用した環境分析や医療診断などに使えるようになる可能性を秘めている。
今回の「慶應版 EIR(客員起業家)モデル」第1弾の募集にあたって、牧教授は次のコメントを寄せた。
「この技術を社会実装し世界中の人々の生活を豊かにするために起業を目指していますが、研究者であるため、起業に関する知見や経験はありません。起業には、グローバル展開を見据えたうえで、事業化計画の策定やロードマップ作成、マーケット調査、知財戦略策定、資金調達計画の立案や資本政策の構築、経営チームの組成検討などと、さまざまな実務を遂行する経営プロ人材が必要です。そのため今回、ビズリーチ上で、客員起業家を副業・兼業限定で公募します」
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