ベネッセコーポレーションは、同社の社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所が全国の大学1~4年生4124名を対象に実施した、「第4回大学生の学習・生活実態調査」の結果を7月28日に発表した。同調査は2021年12月に行われている。
調査結果によれば、学生生活を通じた成長実感は2年生(2015年度入学生と2020年度入学生の比較)で「実感しない」が8.0ポイント増加した。他の学年ではほとんど変化がなく、1年生(2021年度入学生)も前回と同水準に戻っており、とりわけ2020年度入学生に成長実感がもてていない学生が多い。
友人のタイプを分けて「学内の友人の数」を尋ねたところ、2016年から21年にかけて「いない」や「1人」という回答が増えた。「いない」比率としては、「悩み事を相談できる友だち」で5.4ポイント、「学習やスポーツで競い合う友だち」で9.2ポイント増え、とりわけ2年生(2020年度入学生)にその傾向が顕著となっている。
友人の数と、学びの充実・成長実感には関連がみられ、友人の数が「多い群」は「少ない群」と比較して学びが「充実している」という回答が多く、成長についても「実感する」割合が高い傾向がみられた。3者の関連についてパス解析を行ったところ、「友人の数」は「学びの充実」をもたらし、それが「成長実感」につながっていることがわかる。
大学の授業の形態は、「ディスカッションの機会を取り入れた授業」「グループワークなどの協同作業をする授業」「プレゼンテーションの機会を取り入れた授業」が2008年と比較して10ポイント以上増加するなど、アクティブラーニング型の授業が増えている。一方で、2016年との比較では肯定率がわずかに減少しており、コロナ禍で対話的な活動が難しかった様子がうかがえる。しかしながら、オンラインでのやりとりがしやすくなったためか、「教員と双方向のやりとりがある授業」は、2016年から21年にかけて増えている。
調査時点での授業形式は、「対面授業」が多い学生が48.5%、「オンライン授業」31.0%、「半分ずつくらい」が17.3%だった。理想としては、「半分ずつくらい」(25.3%)が最多となっている。オンライン授業のメリットとしては、「自由時間が増える」「好きな場所で受講できる」といった利便性が上位を占め、デメリットでは「一方的な授業が多い」「対話や議論がしにくい」などの学習のしにくさに関する項目が上位となった。
コロナ禍での経験がどのような影響を与えたかを尋ねたところ、「プラス」(とても大きなプラス+大きなプラス+どちらかといえばプラス)が43.0%、「プラスでもマイナスでもない」が27.1%、「マイナス」(とても大きなマイナス+大きなマイナス+どちらかといえばマイナス)が29.8%となっている。多くの学生がコロナ禍での経験を前向きにとらえていることが明らかになったものの、進路選択への影響や精神的なダメージを引きずっている学生も一定数おり、とりわけ2020度入学生に、その割合が若干高かった。
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