立命館とatama plusは、両社が2020年12月に設立した「新しい高大接続と入試の在り方を考える共同研究会」の報告会見を、3月29日に実施した。その中で立命館は、2023年度入試（2023年4月入学）より立命館大学で開始する、AI学習システムを活用した総合型選抜（AO選抜入学試験）の概要を発表。新入試ではatama plusが提供するAI学習システム「atama＋（アタマプラス）」を用いて、各学部での学びにおいて特に重要な単元を指定し、学修することを出願要件に取り入れる。
立命館大学は、高校レベルで学習する科目の総合的な基礎学力は前提としつつ、大学での学びで特に重要な基礎学力は科目レベル（例：数学I、数学A等）ではなく、単元レベル（例：二次関数、確率等）で、学部学科ごとに異なることに着目。そして、その重要な単元の学力を確認しつつ、アドミッションポリシー・入試企画として受験生に向けて発信する方法を模索していた。
今回、AI学習システム「atama＋」を活用することで、受験生ごとに異なる学習歴があっても確実に各単元を修得することができ、かつ大学側も単元レベルでの修得有無を確認することができる。受験生にとっては、高校までの学習が入試のためだけでなく、大学入学後の学びにどうつながるのかを具体的にイメージすることが可能となる。
新しい入試の名称は「学部指定単元AI学習プログラム（通称：UNITE Program）」。受験生が「atama＋」を活用し、各学部が指定する教科の単元を学習・修得することが、出願要件のひとつとなる。「atama＋」は、AIが一人ひとりの習熟度を分析し、個別最適化した学習を提供するシステム。受験生は効果的かつ実質的に基礎学力を修得し、入学後の大学での学びへスムーズに適応することができる。
2023年度の「UNITE Program」で対象となる教科は「数学」で、学部の専門分野を学習するため数学的素養が非常に重要となる、経済学部・スポーツ健康科学部・食マネジメント学部で導入される。
また、合格者を対象に「atama＋」を活用した入学前教育が実施される。同大学で実施する多様な入試方式の中でも、特に本入試は学部での学びでリーダーシップを発揮する、数学的素養、データリテラシーを持つ（持つ意欲のある）学生の入学を求めている。
今後は、同大学の他方式の入試や他学部への展開、数学以外の教科の導入などを推進していく。また、学部ごとに指定した単元の学習・修得を重視する入試の仕組みを、新たな大学入試のスタイルとして確立することを目指す（現在特許出願中）。さらに、本入試の仕組みの利用を希望する大学を対象とした共同研究コンソーシアムを設立する。
報告会見の中で、学校法人立命館の理事長である森島朋三氏は「現在、文理融合の学びが重要となってきているが、高校では数学や理系分野をあきらめてしまう生徒が多いと言われている。本取り組みにより、そのような状況にくさびを打ち込みたい」とコメントした。
「学部指定単元AI学習プログラム（通称：UNITE Program）」概要
総合型選抜（AO選抜入学試験）の出願要件として導入する、AI学習システム「atama＋」で、各学部が指定する教科の単元を学習・修得するプログラム。期間中は繰り返し学習可能。プログラムの出願は無料。
- 開始年度：2023年度入試（2023年4月入学）の総合型選抜（AO選抜入学試験）
- 科目：数学Ⅰ、数学A、数学Ⅱ、数学B
- 実施学部：経済学部（経済専攻）、スポーツ健康科学部、食マネジメント学部
- 対象：2023年3月31日までに高等学校等を卒業・卒業見込みの人
- 募集人数：6月下旬入学試験要項にて公開予定（プログラムの出願人数は無制限）
- 特設サイト：4月1日開設予定
なお、本プログラムの学習結果は入試の合否に影響しない。
学習内容
高等学校の「数学」の各単元のうち、学部が指定する単元を「atama＋」で学ぶ。所要時間の目安は、1日1時間学習した場合、半月～1カ月程度。
この記事は参考になりましたか？
この記事をシェア