本記事の著者である杉村先生は、2022年4月に中村中学校・高等学校へ異動されています。ここでは、前任校である大森学園高等学校で2021年度に行った実践を紹介しています。(編集部)
これまでの授業でやってきたこと
今回私は、新学習指導要領の科目「情報Ⅰ」を見据えて、プログラミング学習とマインクラフトを組み合わせた授業を実施しました。さらに、ただマインクラフトでプログラミングの授業をしただけではなく、PBLも同時に展開しました。現在も「情報Ⅰ」の授業設計をどうしようかと日々考えていますが、私の授業実践が本稿を読んでいただいた方の何かの参考になればと思います。
私は決して特別な教員ではありません。たまたま今回、このように私の授業実践を特集していただけましたが、周囲の支えがあって実現したことなので、非常に感謝しています。
高校3年生を対象とした本授業(学校設定科目:PC活用講座)では、これまで「ICTプロフィシエンシー検定試験」(通称:P検)の対策講座を行っていました。そのほか、実技として「Microsoft Word」の文書作成や「Microsoft Excel」で関数を用いた表計算を、座学では、高校1年生の時に学習した「情報の科学」の復習を含む内容を、テキストを使って学習していました。いわゆる多くの学校で実施している「社会と情報」や「情報の科学」でのセオリー通りの授業と言えます。
誤解のないように申し上げると、この授業内容自体や各種検定・資格の取得について否定するつもりはありません。これらの内容は、現在でも生徒が今後社会に出る上で、基本的かつ大切なリテラシーになるはずです。またこの内容を素地として、新学習指導要領の内容へとつながっていくとも考えています。
しかし、新学習指導要領によって情報科でも新しい学びが始まるだけでなく、GIGAスクール構想によって小中学校でも児童生徒がICT端末を操作する機会が格段と増えてきます。さらに中学校の技術科においてもタッチタイピングをする機会が増加していくと考えられます。
そこで私は、高校の情報科がこのまま旧態依然とした授業スタイルでよいのかという思いを抱くようになりました。もちろん、最先端かつアカデミックな内容をただやればよいとは思っていません。私もさまざまな学校の先進的な事例を目にしており、例えば、タイピングや基本的な表計算は特に授業では行わずに、統計などを学習する学校もありました。そして「自分の学校ではどうすべきか」と考えた際に、それらの学校の事例をそのまま取り入れるのではなく、「自分が受け持つ生徒や学校の状況なども加味した上で授業設計をすべきだ」との結論に至りました。大切なのは、目の前にいる生徒に合った授業をすることだと思っているからです。加えて、教育界全体に目を向けることも含めることも重要だと感じています。