本記事の著者である杉村先生は、2022年4月に中村中学校・高等学校へ異動されています。ここでは、前任校である大森学園高等学校で2021年度に行った実践を紹介しています。(編集部)
課題解決の方法を考え、大田区役所の方の前で発表
前回の記事でお伝えした通り、生徒は授業を通して現実社会に存在する問題に対し、チームで協力して考え、解決策や代替案を出すという経験を得ることができました。そして授業の最後には、大田区役所の職員を学校に招き、プレゼンテーションを行いました。
これに至った経緯としては、同区役所の職員の方から大田区都市開発の課題である「大田区都市開発マスタープラン」を頂いたことが始まりでした。もともと、自分たちで勝手に「大田区の課題はこれだ!」と解釈して発表するのでなく、現実社会に存在する問題に対してアプローチしたいというねらいがあったので、区役所に勤める方の実際の声を聞き、それをもとに問題解決型の学習ができることは非常にありがたいお話でした。
ただ単にマインクラフトの作品を発表するのではない
発表会ではチームごとに発表を行いました。私が事前に生徒たちに求めたのは、「私たちがつくったマイクラの作品はこれです!」と、ただつくったものを紹介する発表ではなく、前述したように「どの問題に着目し、何の課題解決を目指して建築物をつくったのか」を丁寧に説明することでした。そして、生徒からは地域課題に着目した以下の発表が行われました。
- 地域力:子どもと高齢者が交流できる「児老館」
- 環境:大森海岸にゴミ処理場と水族館を併設/きれいな海をつくる施設/緑を増やし子どもたちの憩いの場となる公園
- 福祉・子育て等:少子高齢化の問題を解決し、家族が住みやすい街を目指した大型ショッピング施設/教育格差を解消するための図書館
- 災害に対する安全・安心:防災と再生可能エネルギーと導入した施設
このように、中には実際に存在すれば、本当に大田区の問題解決につながりそうな斬新なアイデアもありました。生徒にも大田区出身者が多く、自分たちが通う学校がある大田区に対し、「住み続けられるまち」にするためにはどうしたらいいかを一生懸命に考えてくれました。
発表後、区役所の職員の方からは「とても斬新なアイデアを頂いた」「今後もよいアイデアがあればぜひ採用していきたい」といったコメントを頂きました。