オミクロン株の学校現場に与える影響
令和4年1月から新型コロナウイルス新規感染者数の7日間平均が顕著に増え続けており、1月9日から広島県、山口県、沖縄県、1月21日から群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、岐阜県、愛知県、三重県、香川県、長崎県、熊本県、宮崎県、1月27日から北海道、青森県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、石川県、長野県、静岡県、京都府、大阪府、兵庫県、島根県、岡山県、福岡県、佐賀県、大分県、鹿児島県、2月5日から和歌山県、2月12日から高知県において、まん延防止等重点措置が実施されています。
2月16日現在、全国的にわが国は感染第6波にあり、少しずつ減少の兆しは見えてきたものの、高齢者の感染増加や死亡者の増加がみられており、まだまだ気が抜けない状況です。第6波の特徴として、BA.1 系統、BA.1 系統の変異株(オミクロン株)により、子どもも感染しやすいことが指摘されています。3学期に入り、学校では最上級生は卒業に向けて、非常に大事な時期に入っています。しかしながら、感染が校内で拡大し、実際に各地で学級閉鎖、学年閉鎖に至っている学校が多くみられるようになってきています。
学校現場でこれまで以上に脅威となっているオミクロン株に対し、私たちはどのように対応すればよいのでしょうか。
オミクロン株とは
オミクロン株に正しく対応するためには、オミクロン株のことを知らなくてはなりません。私たちはこれまで感染第1波から感染第5波までを経験しており、そこから得られた知恵を活用しつつ、感染第6波がこれまでと何が違うのか、何が似ているのかを正しく理解する必要があります。
オミクロン株は令和3年11月にボツワナで最初に報告され、すぐに南アフリカを通じて世界中に広がりました。従来株と比較すると、非常に感染力は高いとされています。イギリスからの報告では、接触者に伝播する確率は従来株が10%であったのに対し、オミクロン株では18%だったとされています[※1]。
また、潜伏期間も従来株と比較すると短く、アメリカからの報告によると潜伏期間の中央値は3日であり、従来株が5日ほどと考えられているので、2日ほど早いとされています[※2]。
このようにオミクロン株は従来株と比較すると、感染力が高く、潜伏期間も短いため、急速に広まったと考えられます。では、オミクロン株感染症の重症度はどうでしょうか。
オミクロン株感染症の重症度は従来株感染症の重症度と比較すると比較的軽症であると報告されています。南アフリカからの報告によると、オミクロン株感染症は従来株感染症よりも死亡率が低い(死亡率が従来株4.5%に対して、オミクロン株は1%であった)とされています[※3]。
また、イギリスからの報告でもオミクロン株感染症は従来株感染症と比較して入院率が1/3程度であったとされています[※4]。
このようにオミクロン株とは、感染力は従来株と比較して高いが、少なくとも今のところは感染者の重症度は従来株と比較すると低いと考えることができます。一方、南アフリカから、オミクロン株は従来株と比較して若年者に感染者が多い傾向が報告されており(感染者の平均年齢が従来株50歳に対して、オミクロン株は39歳であった)、感染力の強さと相まって、従来株と比較して学校での感染拡大に至っている点は見逃せません。
[※1] 「SARS-CoV-2 variants of concern and variants under investigation in England」(UK Health Security Agency)
[※2] 「Investigation of a SARS-CoV-2 B.1.1.529 (Omicron) Variant Cluster — Nebraska, November–December 2021」(Centers for Disease Control and Prevention)
[※3] Abdullah F, et al. Decreased severity of disease during the first global omicron variant covid-19 outbreak in a large hospital in tshwane, south africa. Int J Infect Dis. 2021;116:38. Epub 2021 Dec 28.
[※4] 「SARS-CoV-2 variants of concern and variants under investigation in England」(UK Health Security Agency)