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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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キーパーソンインタビュー

21世紀型スキル等の育成に向けて、公教育は何ができる? 戸田市教育長 戸ヶ﨑氏が語る

戸田市教育委員会 教育長 戸ヶ﨑勤氏&株式会社Inspire High 代表取締役 杉浦太一氏対談【前編】


 加速度的に技術が進歩し、予測がつかない時代に突入した現在、子どもたちが自ら課題を考え、その解決方法を探っていく課題解決型学習や探究学習のニーズが高まっている。一方で、これらの学びをどのように児童生徒へ提供すべきか、悩んでいる現場の先生も多い。今回は、産官学民で教育改革を進める戸田市教育委員会 教育長の戸ヶ﨑勤氏と、同市が導入している教育プログラム「Inspire High」の代表取締役である杉浦太一氏に、Society 5.0時代の教育をテーマにお話しいただいた。前編では、戸田市における21世紀型スキル等の育成に向けた取り組みを紹介する。

戸田市教育委員会 教育長 戸ヶ﨑勤氏(左)、株式会社Inspire High 代表取締役 杉浦太一氏(右)
戸田市教育委員会 教育長 戸ヶ﨑勤氏(左)、株式会社Inspire High 代表取締役 杉浦太一氏(右)

産官学民の連携で教育改革を進める戸田市

戸ヶ﨑氏(以下敬称略):私は2015年度から戸田市教育委員会の教育長に着任し、6年以上にわたり教育改革を行っています。埼玉県戸田市は池袋まで電車で15分、新宿へは20分という東京に近い「地の利」があること、教育に注力していることなどから子どもの数が増えており、児童生徒の増加による教室の不足と、それに伴う校舎の増築などが課題となっているほどです。

 以前の戸田市は、小中学校ともに学力や体力が高くなく、風紀も乱れているイメージがありました。現在もすべての課題がなくなったわけではありませんが、学力では県内トップクラス、体力も全国平均以上で、非行問題も格段に減りました。今の戸田市があるのは、前教育長がしっかりと地盤を固めてくださったことが大きく、その上に改革の取り組みを積み重ねていくことができています。なお、2015年4月の教育長着任当初に、次のスライドにあるような教育改革の4つのコンセプトを示し、議会や各学校とその考えを共有化してきました。

教育改革の4つのコンセプトは現在も貫かれている
教育改革の4つのコンセプトは現在も貫かれている

 戸田市の教育改革の大きな柱となっているのが、産官学民で連携した「戸田市SEEPプロジェクト」です。SEEPは教科教育の「Subject」、エビデンスにもとづく教育の政策立案の「EBPM」、ICTを活用した「EdTech」、課題解決や探究型学習の「PBL」の頭文字を取っています。

「戸田市SEEPプロジェクト」。SEEPには「浸透する」という意味も込められている
「戸田市SEEPプロジェクト」。SEEPには「浸透する」という意味も込められている

杉浦氏(以下敬称略):Inspire Highでは、10代に向けて、起業家やアーティスト、漁師、映画監督、サイエンティストなど世界中のさまざまなガイドにお話をしていただき、さらにアウトプットの時間として、ガイドから投げかけられた「答えのない問い」に対して自分たちで考えます。その後、お互いのアウトプットにフィードバックを行います。こうした活動を通して、アウトプットにより創造性を高めながら、フィードバックを送り合うことで自己肯定感や共感性を高めていき、世界の面白さを知り、自分の道を探究していくプログラムです。

学校ではライブ配信を録画したものを教材として視聴する

 これまでの教育では「同じように優秀な子を育てる」ことをゴールとしていて、それも大切なスキルでした。その後、Society 4.0においてはグローバルリーダーや起業家を育成する教育が大きな使命となっていました。しかし、全員がリーダーになる必要はない。むしろ、Society 5.0を迎える今後は、そうした競争から解放されて、一人ひとりが充実した人生を送るための支援を行うことこそが、教育のゴールのひとつとなるのではないかと思います。

 そのため、Inspire Highでは著名人だけでなく、さまざまな大人の人生を知ることにより、好奇心や創造力、協働力といった21世紀型スキルを伸ばしていきたいと考えています。

ガイドから「答えのない問い」が参加者に投げかけられ、その問いに対してそれぞれが考えて意見を交換し合う
ガイドから「答えのない問い」が参加者に投げかけられ、その問いに対してそれぞれが考えて意見を交換し合う

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本物に触れることが21世紀型スキル育成につながる

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この記事の著者

相川 いずみ(アイカワ イズミ)

 教育ライター/編集者。パソコン週刊誌の編集を経て、現在はフリーランスとして、プログラミング教育やICT教育、中学受験、スマートトイ、育児などの分野を中心に、取材・執筆を行っている。また、渋谷区こどもテーブル「みらい区」を発足し、地域の子ども達に向けたプログラミング体験教室などを開催している。一児の...

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森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

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