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AI教材はあくまで手段の1つ――自律的な学習者を育てるために重要なことは何か?

第3回 EdTezhZineオンラインセミナー「AI教材への依存から活用へ、自律的な学習者を育てるために気をつけるべきこと」

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2021/06/17 07:00

 「EdTechZine」は5月9日、読者向けのオンラインセミナーを開催した。セミナーでは毎回、教育の最前線で活躍されているゲストをお招きし、日々の教育実践のヒントとなる内容を、講演と質疑応答を通してお伝えしていく。第3回には、公立中学での教員経験を持ち、現在は東京・平井にて自立型学習塾「C.school」を運営する風間亮氏が登壇。C.schoolは「なりたい自分に出会える塾」をコンセプトに掲げ、一人ひとりに寄り添う指導を信条としており、AI教材をはじめとした多くのEdTechツールも活用。その中で感じた危機感と改善策、EdTechを活用した自律的な学習者のあり方について、経験をもとにお話しいただいた。

「主体的な進路選択」と「自律的に学ぶ力の育成」の実現を目指す塾

 C.schoolの塾長である風間氏は、小中学生を対象に(高校生は2021年6月より)、日々子どもたちの自律的な学びと向き合っている。メイン教材にアダプティブなICT教材「すらら」と受験用の紙教材を使い、試行錯誤しながら子どもたちの学習に役立てる方法を考えてきた。

株式会社Bee 代表取締役/C.school 塾長 風間亮氏
株式会社Bee 代表取締役/C.school 塾長 風間亮氏

 そんな風間氏も、中高生時代には言われるがままに勉強し、大学入学後に行き詰まったことがあり、身近な先輩の示唆を受けて自分の力で生き方を見いだすことを知った。これらの経験から「受験などの岐路に、将来を考える機会を与えてくれる存在が寄り添うべきではないか」と考えるようになったという。

 一方で、勉強を一生懸命やり続けたことを「良かった」と、大人になってから実感するようになった風間氏。その理由として「やり遂げたという自信を持つことができ、PDCAを回す方法も知った。社会に出てからも、文章の読み書きはもちろん、ロジカルなものの考え方、答えのない問題への取り組み方など、あらゆる分野で不可欠な基礎力となっている」と語る。

 そうした思いから、C.schoolでは「自分なりの目的を持って目標を決める機会」と「自律的にPDCAを回す力と基礎学力の身につけ方」を提供したいと考え、次の2つを学びのゴールとして定めている。

 まず1つ目は、他責にせず自分自身の責任で進路を決める「主体的な進路選択」である。具体的には、学習環境の中で社会や選択肢、自分自身のことを知る機会を設け、定めた志望校について自分の言葉で語るということだ。

生徒主体の進路選択を実現する
生徒主体の進路選択を実現する

 そして「主体的な進路選択」を実現させるための2つ目のゴールが、自分で計画を立て実践していく「自律的に学ぶ力の育成」だ。その中でPDCAを回し、「Plan=学習計画」を立て「Check=ふり返り」をする際は、「先生=人」が面談などでサポートする。「Do」や「Action」という実際に勉強する部分においては、ICTツールをうまく活用している。

PDCAの「Do」と「Action」つまり勉強の部分で手段としてICTを活用
PDCAの「Do」と「Action」つまり勉強の部分で手段としてICTを活用

 中学校での教員時代にも、グループワークなどを取り入れながら、生徒が自律的に学ぶための取り組みを実施。例えば50分の授業の中では、教員が10分間説明した後、残りの時間は生徒が自分たちでゴールを決めて学習し、チェックを受けて次のステップに進む。その日の進捗自体は評価として重視せず、月単位で取り組むべき範囲を設定し、確認テストを行っていた。

授業で教員が説明するのは冒頭10分のみ。残りの時間は生徒それぞれが目標を決めて学ぶ
授業で教員が説明するのは冒頭10分のみ。残りの時間は生徒それぞれが目標を決めて学ぶ

 さらに、eラーニングの教材を使った個別学習の授業も実施。個々の進捗に合わせた内容を各自で学習するため、黒板での説明や、問題作成・採点などの作業がなくなり教員の負担が減る。浮いた時間を使い、生徒の学習計画づくりや、わからない部分の個別指導などのサポートを行っていた。


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著者プロフィール

  • 伊藤 真美(イトウ マミ)

    エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

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