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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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イベントレポート(プログラミング教育)

子ども向けプログラミング教室では「圧倒的に」女子が少ない――関係者が課題解決のヒントを探る

「Afrel ONE Mission!」レポート

 次世代に活躍する人材の育成が求められている昨今、デジタル分野や工学分野などで活躍する女性が少ないことは日本の大きな課題とも言われている。この比率を上げるためには、子ども時代のプログラミング教室体験や理数系教育において、女子の参加を促すことが不可欠だ。この課題感のもと、11月25日に子ども向けプログラミング教室の開設・運営の支援を行うアフレルの主催によるオンライン座談会「Afrel ONE Mission!」が開催された。プログラミング教育業界や理工系分野で活躍する女性が集まり、女子向けプログラミング教育の普及および課題解決のためのヒントを探った。

女子向けプログラミング教育に課題感を持つ7人が集結!

 2020年度からの小学校プログラミング教育必修化に伴い、プログラミング教育市場も拡大し、「子どもに習わせたい習い事」の上位にも入るようになってきている。その一方で、民間のプログラミング教室では男女比に大きな偏りが生じており、特に女子の在籍率が低く、それが将来の理系教育、ひいてはデジタル分野や工学分野における女性の就業などにも影響を及ぼすと考えられている。

 主催者である株式会社アフレルの檜山桐子氏は、「実体験を通して感じた課題や学びを皆さんと共有し、気づきを得ていくことで、女の子がプログラミング教育に取り組みやすい環境をつくることを目指していきたい」とイベントの目的について語った。

座談会参加者:芝浦工業大学 デザイン工学部 野田夏子教授、株式会社ノジマ 加藤道子氏、株式会社ミマモルメ 楠本千尋氏、夢見る株式会社 佐野麻衣氏、株式会社LITALICO 和田沙央里氏、東京工業大学 生命理工学院 小野沙桃実氏、株式会社アフレル 檜山桐子氏(ファシリテーター)
座談会参加者:芝浦工業大学 デザイン工学部 野田夏子教授、株式会社ノジマ 加藤道子氏、株式会社ミマモルメ 楠本千尋氏、夢見る株式会社 佐野麻衣氏、株式会社LITALICO 和田沙央里氏、東京工業大学 生命理工学院 小野沙桃実氏、株式会社アフレル 檜山桐子氏(ファシリテーター)

 今回の参加者の1人、芝浦工業大学 デザイン工学部でソフトウェア工学を専門とする野田夏子教授は、大学での研究・教育の傍ら、学内で「工学女子を育てよう!」プロジェクトを立ち上げ、工学系女子の裾野を広げるべく、女子学生、女性教員が指導者となって女子小中学生にロボットプログラミングを教えるワークショップを実施している。また、IEEE Japan Council(注:人類社会の有益な技術革新に貢献する世界的な専門家組織の日本支部)において、女性技術者・研究者の自立と連携を支援するWIE(Women in Engineering)の役員も務めている。その野田教授と檜山氏の出会いが、今回の座談会開催のきっかけになったという。

 檜山氏がショックを受けたのは、大学および研究者の理工学分野における女性の少なさだ。大学在学者の女子学生の割合は平均で45.4%、しかし工学部は15.4%、理工学部も27.9%と低い数値が続いている。さらに、社会に出た後の専門分野別の女性研究者の割合が工学分野は6.2%にとどまる。

大学(学部)在学者に占める女子学生の割合(分野別)、「令和現年度学校基本調査(確定値)の公表について」(文部科学省)P.11より
大学(学部)在学者に占める女子学生の割合(分野別)、「令和現年度学校基本調査(確定値)の公表について」(文部科学省)P.11より

 「野田先生は理工学分野の女性率の少なさに課題感を持ち、小中学生での楽しいプログラミング体験が、後に女子が理工学の進路を選ぶきっかけになればと考え、取り組みを始められたと伺った。その中での気づきを、民間スクールの皆さんとも共有したい」と檜山氏は語る。

 株式会社ノジマ 販売推進部 PC教室でキッズプログラミング事務局を担当する加藤道子氏も、「ロボットプログラミングやScratch、Webサイト作成のコースを展開しているが、女子の比率は10%ほど。また、横浜市や相模原市、JAXAなどの後援のもとCSR活動として数百名規模のプログラミングワークショップを開催しており、そこでも女子は3割程度にとどまり増える様子がない」と現状を語る。

 株式会社ミマモルメの楠本千尋氏も、教育事業部でロボットプログラミング教室「プログラボ」の運営に携わっており、教室で生徒を教える傍ら、大学などの教育機関と連携しプログラミング教育の普及活動を担っている。女子生徒の少なさに課題感を持っているのはもちろん、すでにプログラミングを学んでいる女子生徒に対して理工系での将来像を描くきっかけになるようにとの思いで、大阪府立大学と共同で女子限定イベントを開催。「参加した女子生徒たちの得た学びを紹介できればと考えている」と話した。

 そして、夢見る株式会社でプログラミング教室「ロボ団」のフランチャイズ事業部に所属する佐野麻衣氏は、全国120カ所の教室の集客に携わる中で、女子向けプログラミング教室ブランド「チアーズ」を立ち上げ、1年でクローズした経験を持つ。「その失敗をもとに、難しかったこと、良かったことを共有したい」と語った。

 6人目は、株式会社LITALICOで5歳~高校生まで通うIT×モノづくり教育「LITALICOワンダー」のカリキュラムや教材、研修開発を担当する和田沙央里氏。300人以上の生徒にプログラミングを教え、2016年度には総務省の若年層プログラミング教育普及推進事業でプロジェクト責任者も務めた。本人も小学生からプログラミングを楽しんでいた経験があり、2019年に共著で発行した子ども向けScratchの書籍には「女子が好みそうなテーマをあえて盛り込んだ」という。

 そして最後に、現役の東京工業大学大学院1年生の小野沙桃実氏が登場。高校時代には「レゴ マインドストーム NXT」を使い、現在は理系女子学生をメインとする、世界中にネットワークがある学生団体「Robogals Tokyo」の代表を務める。「数少ない女子学生ということで、女子向け理系教室に参加し子どもたちの楽しむ姿を見て、自分も原点に帰って楽しみたいと感じるようになった」と語った。

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女子の割合は1~2割!? 裏側に幼少時からの根深い事情アリ

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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