ユニセフ(国連児童基金)は、新型コロナウイルス感染症の影響で学校が休校になっている際に、世界の学齢期の子どものうち、少なくとも3人に1人、4億6300万人が遠隔学習を利用できなかったとする報告書を、8月27日(現地時間)に発表した。
同報告書では、100か国のデータを用いて就学前教育、小学校、中学校、高校に相当する子どもたちの遠隔学習に必要な家庭用機器やツールの利用可能性について、世界的な分析を行った。テレビ、ラジオ、インターネットへのアクセスや、休校時にこれらのプラットフォームで配信されるカリキュラムの利用可能性に関するデータが含まれている。
地域/遠隔学習にアクセスできない学齢期の子どもの割合、および人数は以下の通り。
- 東部・南部アフリカ 49% 6700万人
- 西部・中部アフリカ 48% 5400万人
- 東アジア・太平洋地域 20% 8000万人
- 中東・北アフリカ 40% 3700万人
- 南アジア 38% 1億4700万人
- 東欧・中央アジア 34% 2500万人
- ラテンアメリカ・カリブ海諸国 9% 1300万人
- 世界全体 31% 4億6300万人
最貧困世帯や農村部に暮らす学齢期の子どもは、休校中に学習を中断する可能性が圧倒的に高い。世界的に見ても、遠隔学習を利用できない学齢期の子どもの72%は、その国の最貧困世帯の子どもといえる。
高中所得国では、遠隔学習へのアクセスが可能でない生徒のうち、最大86%を最貧困世帯の子どもが占める。世界的には遠隔学習にアクセスできない学齢期の子どもの4分の3が、農村部に暮らしている。
また、就学前教育の年齢の子どもの約70%(1億2000万人)が遠隔学習へのアクセスを持たないとし、その理由も紹介する。それによると、おもに幼児向けのオンライン学習には制限やさまざまな課題があり、この教育カテゴリーの遠隔学習プログラムも、そのための家庭での機器も不足していることなどが原因といえる。
小学生の少なくとも29%(2億1700万人)が遠隔学習へのアクセスができず、中学生の少なくとも24%(7800万人)が遠隔学習にアクセスできない。
高校生は、遠隔学習の機会を逃す可能性がもっとも少なく、少なくとも18%(4800万人)が遠隔学習を利用するための機器を所持していない。
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