イギリス発の木製プログミングロボット「キュベット」
イギリス発の「キュベット」は、モンテッソーリ教育(子どもに自分自身を育てる力が備わっていることを前提とした、学びを促す手法)もとづいてデザインされた、手を使って遊ぶことができる木製のプログラミングロボットだ。パソコンやタブレットを使わずに、専用のボードとブロックを使ってプログラミングできるため、日本でも保育園や小学校で活用されている。
キュベットのコーディングブロックには、色別に「まえへ」「みぎへ」「ひだりへ」「ファンクション(くりかえし)」の意味があり、文字が一切使われていないのも特徴だ。布製の大きな専用マット「ワールドマップ」には、山や森、海、お城などのイラストが描かれている。
キュベットの日本販売総代理店であるキャンドルウィックは、もともと教育関係者向けにキュベットのオンラインセミナーを行っていたが、3月から休校支援として「親子向けプログラミングセミナー」をオンラインでスタートした。このセミナーは、購入者だけでなく、「キュベット」を持っていない人に向けては、無料で貸し出し(送料のみ自己負担)を行っている。
初心者向けと経験者向けの2種類のコースがあり、いずれも1時間で1000円。Zoomを活用した最大5組までのオンライン講座となっている。今回は取材として、筆者と小学6年生の息子も「経験者コース」に飛び入り参加させていただいた。
オンラインならではの工夫を取り入れたレッスン
この日の参加者は、4家族で5歳から小学3年生までの4人。中には4年前のクラウドファンディングで購入したというご家族もいた。
それぞれ自宅でワールドマップを広げ、キュベットを用意した状態でスタートする。講師を務めるのは、プリモトイズ公式インストラクターの刑部友理氏。オンラインセミナーの講師をはじめ、保育園やワークショップなどの現場で指導にあたっているベテランだ。
最初に全員で自己紹介をした後、今日の約束を確認してレッスンが始まった。
最初のチャレンジは全員で同じ問題に挑戦する、いわば準備運動。キュベットのワールドマップを使い、「街からスタートし、途中で山に行っていい景色を見てから、ゴールの森を目指そう」というものだ。先生から問題が出ると、各々保護者と相談しながらブロックをボードに置いていく。経験者コースだけあって、とまどうことなく進めていた。
1問目を全員でクリアしたら、次の問題にチャレンジ。今回は1時間で、4つの課題にチャレンジした。
しりとりを混ぜたり、ポイント制にしたりと、小さな子どもでも参加しやすい遊びやゲーム性を取り入れることで、同じワールドマップでも、毎回違った感覚でチャレンジすることができた。
特に面白かったのが「しりとりで言った言葉の文字数だけ、ブロックを使える」というルールだ。このルールのため、子どもたちは必死で長い言葉を考えていた。また、「じんとりゲーム」では特定のマークを通ることにポイントがもらえる。制限時間があったので、子どもたちは高ポイントを目指し、次々とブロックを組み替えていた。競争にすることで、子どもたちのモチベーションも大いに上がるなど、飽きさせない工夫が感じられた。
すべての問題が終わった後、講師の先生からキュベットが楽しくなるユニークなプログラムも紹介された。「くりかえし」ができる青のファンクションブロックは、やや難しくなるが、組み合わせることでキュベットの動きのパターンが広がっていく。キュベットに慣れてきてからファンクションブロックを追加することで、段階的にプログミングの基本を学んでいくことが可能だ。