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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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特集記事(海外動向)

中国の英語教育にAI活用はあたり前~英語スピーキング評価AI技術「CHIVOX」に見る中国と日本の英語教育の差

 近年、人口減少による外国人労働者の増加、インバウンド海外旅行者の増加、企業のグローバル展開などといった日本社会の国際化により、英語などの外国語の習得が重視されるようになっている。採用や待遇の目安の一つとしてTOEICなどの英語民間試験のスコアを使用する企業が増え、2019年11月1日に延期が発表されたものの、将来の大学入学共通テストでは英語の民間試験の導入が予定されている。このような背景の中、テクノロジーを活用し、語学教育に役立てるという動きが注目されている。

 IT活用が進む中国では教育分野においてもさまざまなテクノロジーが導入されており、正しい英語発音を判定する多次元音声評価AI「CHIVOX(チボックス)」もその一つ。これは、学習者の英語の発音の良し悪しを判定できるAIで2007年、英国ケンブリッジ大学発ベンチャーが開発したものだ。1000社以上の英語教育企業の製品内に組み込まれており、中国では英語教育プロダクトの60%以上にCHIVOXの英語スピーキング評価AI技術が導入され、上海市や江蘇省などの自治体主催の高校入試、大学入試における英語スピーキングテストの採点システムとしても採用されている。

 アイード株式会社は、「CHIVOX」を日本の英語学習サービス事業者に対して展開している企業。今回は、アイードの代表取締役会長の宋暁非氏に、中国における「CHIVOX」の活用方法をはじめとした、英語教育へのテクノロジー活用の現況や日本との比較について聞いた。

アイード株式会社 代表取締役 宋 暁非

 グロービス経営大学院で、コンテンツの整備・開発、クラスの品質管理に従事。2012年にグロービスチャイナ副総経理。2015年には「森暁教育」を立ち上げ、オンライン日本語スクール「Jtalk」とオンライン中国語スクール「Ctalk」を提供する一方、日中の教育商社として中国EdTechを日本へ仲介する事業を開始。2019年1月、デジタルテクノロジーの利活用を通じて教育領域が抱える課題解決を目指すことをビジョンに掲げるアイード株式会社を設立。広島大学国際協力研究科教育学修士/グロービス経営大学院経営学修士

中国では子どもの将来のための英語教育が過熱、より正しい発音を重視する傾向に

 中国の英語教育について宋氏に尋ねると「日本の英語教育サービスは、社会人向けのものが目立ちますが、中国では、小学生向けのサービスが盛んです。親が子どもの将来を考え、小さなうちから習い事の一つとして学ばせるようになっています」と、子ども向けのサービスが活況であると切り出した。

 中国の親たちが、子どもの就職には英語が必要と考え、英語教育に熱心になってきたのがここ8〜10年前からの傾向であるとし、中国の子ども向けオンライン英会話サービスの子供向け英会話市場における浸透率は、2018年で26.59%、2019年には33%を超える見通しだ(出所:2019年中国オンライン青少年英語産業研究報告)。 中国の子ども向けのオンライン英会話サービスでは、「VIP KID」「VIP Jr」「51Talk」の3つが市場全体の8割を占め、いずれのサービスも成長性のある事業として資金を多く集めているという。

 宋氏は、オンライン英会話サービスで中国の親たちが重視しているスキルの一つが発音であるとし、「中国人は日本人より、発音についてこだわりが強い傾向にあると思います。『VIP KID』は北米の講師を多く採用し、フィリピン人講師などが多い他のサービスよりも人気を集めるようになっています。また講師だけでなく、教材やサービスにも発音評価機能があるのが当たり前になっています」と説明した

 発音評価が当たり前になった理由の背景として宋氏は、10年ほど前から実施されてきた、受験における英語のスピーキング評価システムの導入が影響しているという。「北京市では高校受験の英語試験は100点満点中40点がリスニング&スピーキングで、AI活用などにより自動で採点が行われています。また英語の成績が省内で2番目か3番目だった朝陽区では、2018年に『CHIVOX』を活用した学校向けリスニング&スピーキングトレーニングソフトを導入したことで北京市の英語試験のリスニング&スピーキングにおいて1位になったという事例もあります」と宋氏。

次のページ
AIによる受験での発音評価を採用、中国における低リスクかつ合理的な受験改革

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

スマホアプリやWebサイト、出版物といったコンテンツの企画制作を手がける株式会社アンジーの代表。写真加工アプリ「MyHeartCamera」「PicoSweet」など、提供するアプリは1100万以上のインストールを獲得。2019年にはAR(拡張現実)プログラムに関する特許を取得。自身はIT関連の取材...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)

株式会社翔泳社 ProductZine編集長。 1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。ソフトウェア開発専門のオンラインメディア「CodeZine(コードジン)」の企画・運営を2005年6月の正式オープン以...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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