日本マイクロソフトは「マイクロソフト~新時代の学びの革新プログラム」を7月30日より開始した。
「マイクロソフト~新時代の学びの革新プログラム」は6月25日に文部科学省が発表した「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」(以下、文科省の最終まとめ)に対応する新しい教育機関向けソリューション。既存のソリューションを含めた、以下2つの要素で構成されている。
「学びの革新ソリューション」
文科省の最終まとめでは、子どもたちの多様性を尊重し、それぞれの力を最大限に引き出すことを重視している。その実現に向け、ICT環境を基盤とした先端技術や教育ビッグデータの活用には大きな可能性があるとしている。
この方針に対応するものとして、同社は教育クラウドとビッグデータ活用のためのソリューション「Microsoft School Dashboard」を提供する。
Microsoft School Dashboardは、マイクロソフトの教育機関向けクラウドサービス「Microsoft 365 Education」に含まれるアプリケーションと、パブリッククラウドサービス「Microsoft Azure」を中心に構成される、教育機関向けのビッグデータ活用ソリューション。子どもたちの学びの現場や、教職員の授業や校務から生じたデータをクラウド上に蓄積し、ひとつのダッシュボードで可視化できる。そこから、教育委員会や各学校の校長、教職員はそれぞれの役割に応じた目的・用途でリアルタイムにデータを分析し、AIの支援も得て予測を行うことが可能となる。
具体的には、教職員による指導や子どもたちの学習履歴・行動などが蓄積されたビッグデータを用いて、教職員は子どもたちがどのように学び、どこでつまずいているのかを仮説を立てて検証できる。そして、個別最適化された学習方法を特定したり、ベテラン教員の実践知や暗黙知をデジタルデータとして残したりすることで、若手世代へのスムーズな引き継ぎを支援できる。
さらに、授業や校務に必要なソフトウェアをクラウドサービスとして提供することで、学校現場でのソフトウェア管理や校務作業などの軽減が期待できる。
また、同社は文科省の最終まとめで想定されている未来の教育現場に対応するべく「世界最先端の学びを支えるソリューション」を提供する。このソリューションはMicrosoft 365 Educationとその中に含まれるコラボレーションツール「Microsoft Teams for Education」を核としたもの。協働学習の支援や遠隔オンライン教育に活用することで、子どもたちの多様な特性・環境に合わせた学びを実現する。
ほかにも「Microsoft HoloLens 2」を用いたMR(複合現実)取り入れた授業の実現や、Microsoft Azureでの統合型校務支援、学習障害の児童・生徒に向けた音声読み上げ機能やフォントの提供が行われる。
「学びの最適PCモデル」
文科省の最終まとめでは、新時代の学びに応じたソリューション活用に必要とされる、PCスペックが提示されている。それを受け、同社ではWindows 10デバイスを「学びの最適PCモデル」として取りまとめ、提案・展開を開始する。「Microsoft Surface Go」と、マイクロソフトのOEMパートナーと連携した低価格帯のデバイス、計24機種がラインナップされている(7月30日時点)。なお本年度中に、機種は倍増予定だという。
なお、Microsoft Surface Goは教育機関向けの特別価格で、OEMの低価格帯デバイスは割引価格が適用された「Shape the Future プログラム」を通して購入できる。
本発表を受けて、同日にメディア向けの説明会も開催された。説明会で日本マイクロソフトの中井陽子氏は「教育を変えるにはまず先生の働く環境を変えていかなければいけません。先生が機器の使いこなし方を覚え、教え方を変え、その結果子どもたちの学び方が変化していくからです。その一歩先に、教育ビッグデータを活用できる世界が訪れるのではないでしょうか」と展望を語った。
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