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ICT活用の先端を行く、エストニアのプログラミング教育事情とは?

「New Education Expo 2019」セミナーレポート

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2019/07/10 07:00

 6月6日~8日の3日間にわたり、「New Education Expo 2019」が有明の東京ファッションタウンビルにて開催された。2020年度の小学校新学習指導要領全面実施を控え教育現場の変革に関心が集まる中、会場は連日多くの来場者で賑わった。本稿では、会期中複数開催されたセミナーの中から、「エストニアの教育事情から見た、プログラミング・STEAM教育の可能性」についてレポートする。

ICT活用先進国のプログラミング教育・STEAM教育とは

 国をあげてICT活用を進め、さまざまな公共サービスがオンラインで処理できることで注目されるエストニア。スタートアップ支援にも積極的で、Skypeが生まれた国としても有名だ。セミナーではエストニアのプリスクール、Lohkva KindergartenのHeadteacherでプログラミング関連の教育にも詳しいAnneli Mõtsmees氏を迎え、富山大学名誉教授 日本教育工学会前会長の山西潤一氏がコーディネーターを務めた。電子化の先端を行くエストニアで行われているプログラミングやSTEAMに関する教育の実態を知る貴重な機会となった。

富山大学名誉教授 日本教育工学会前会長 山西潤一氏
富山大学名誉教授 日本教育工学会前会長 山西潤一氏

エストニアの教育制度と環境

 エストニアは人口130万人の北欧の小さな国。7歳~15歳が小中一貫のベーシックスクールで9年間義務教育を受ける。日本の保育園、幼稚園にあたるプリスクールは任意で、高等学校にあたる教育段階では一般の学校と職業訓練系の学校に分かれる。PISA(OECD生徒の学習到達度調査)では、日本やシンガポールと同様に多くの項目で上位の結果を出して注目されている。

 国全体で電子化が進んでいると聞くと「どんな大都会なのか」と思うかもしれないが、伝統的な町並みやのどかな風景が続く。Mõtsmees氏は「田舎の地域に小さな学校がたくさんあり、どの学校でも最高の教育を提供する必要があります。それにはテクノロジーが大きな助けになります」と語った。

Lohkva KindergartenのHeadteacher、エストニア教育工学会会員 Anneli Mõtsmees氏
Lohkva KindergartenのHeadteacher、エストニア教育工学会会員 Anneli Mõtsmees氏

 ほとんどの学校で子ども用のフリーWi-Fiが提供されており、共用のデバイス類もあるがBYOD(自分が所有する機器を持ってくること)が認められている。日本では何かと議論の種になるBYODだが、子どもたちが自分のデバイスを学校に持ち込むことで教育予算を補うことになり、むしろ助かっているという。教育現場ではそれだけ当たり前に1人1台のデバイスが必要とされる手法がとられているということだろう。

 電子化の一例としては、2020年に向けての国の方針として、学習教材はすべて電子教材でなければならないと示された。教科書など、すべての教材はインターネット上に置く必要があり、現在そのプラットフォームが作られている。学校からでも家からでもどんなデバイスからもアクセスでき、子どもたちが重たいカバンから解放されるということだ。

Opiq:すべての学年のさまざまな教科、出版社の教科書が集められている。いくつかのサンプルを見る限り多画面サイズに対応したHTMLで作られている。(Webサイトより)
Opiq:すべての学年のさまざまな教科、出版社の教科書が集められている。いくつかのサンプルを見る限り多画面サイズに対応したHTMLで作られている。(Webサイトより)
E-koolikott(e-Schoolbag):学習教材類を管理できるシステムが構築されている。(Webサイトより)
E-koolikott(e-Schoolbag):学習教材類を管理できるシステムが構築されている。(Webサイトより)

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修正履歴

  • 2019/07/10 10:08 記事初出時、登壇者の方のお名前の表記に一部誤りがありました。申し訳ありません。

著者プロフィール

  • 狩野 さやか(カノウ サヤカ)

     株式会社Studio947のデザイナー、ライター。ウェブサイトやアプリのデザイン・制作、技術書籍の執筆に携わる。自社で「知りたい!プログラミングツール図鑑」「ICT toolbox」を運営し、子ども向けプログラミングやICT教育について情報発信している。著書に『見た目にこだわる Jimdo入門』(...

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