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イベントレポート(情報リテラシー)

プレゼンテーション専門家、ガー・レイノルズに訊く、教室におけるプレゼンテーション技術の磨き方・活かし方


 集中力10分時代、プレゼンテーション能力はこれまで以上に求められている。ビジネスの世界と同じように、教室でもスライドを利用した授業や、プレゼンテーションを教える動きがある。著書『プレゼンテーションZEN(禅)』で知られるプレゼンテーションのエキスパート、Garr Reynolds(ガー・レイノルズ)氏に、プレゼンテーション技術の磨き方や授業に活かすコツなどを聞いた。

 アドビ システムズが6月、都内で開催した「2017 Adobe Education Forum」で、「スマートフォン世代のプレゼンテーション」と題してプレゼンテーションの極意を伝えたレイノルズ氏。「ビジュアルメッセージは、(1)注意を引く(2)理解できる(3)記憶に残る(4)行動につながる、という4つがなければだめ」などと来場者に伝えた。また、コンピューターをオフにして考える、シンプルに、効果的な画像を利用するなどと具体的な助言も行った。

「スマートフォン世代のプレゼンテーション」と題した講演を行ったガー・レイノルズ氏
「スマートフォン世代のプレゼンテーション」と題した
講演を行ったガー・レイノルズ氏

良いプレゼンテーションと、悪いプレゼンテーション

 講演では良いプレゼンテーション、悪いプレゼンテーションを具体的に見せた。例えば消費税を説明するとき、各国の消費税を見せる(写真上)よりも、一部の国に限定して低い順に並べて見せる(写真下)方が、聞く側は情報を理解しやすくなる。

良いプレゼンテーションはどう生まれるか

――良いプレゼンテーションの条件があれば教えてください。

ガー・レイノルズ氏(以下、レイノルズ):いくつか挙げられますが、一番重要なことは聞き手を最優先させることです。

 プレゼンテーションは「プレゼント(贈り物)」です。重要、使える、役に立つものをプレゼントすることと考えてください。プレゼンターの多くが自分が言いたいことにフォーカスしたプレゼンテーションをしていますが、自分ではなく聞き手を考えてみると良いでしょう。

――素晴らしいプレゼンテーションをするためには、さまざまな工夫や努力が必要になると思います。プレゼンテーション能力を上げるためのアドバイスをいただけますか?

レイノルズ:紙とペンで自分の考えをスケッチすることから始めると良いでしょう。スケッチは脳と直結する作業で、このステップはとても重要です。また、準備段階ではアイデアが制限されないように大きなもの(紙、ボード)を使ってください。Apple、Pixar Studioなどの企業では、壁一面に大きなボードがあります。これはスマートフォン、PCではできません。テクノロジーは必要ありません。準備段階ではテクノロジーから離れること、否定することが、素晴らしいプレゼンの秘密なのです。シリコンバレーのIT企業の幹部たちは、高い学費を払って自分の子どもをテクノロジーのない私立学校に入れています。子どもたちは日常生活ですでにたくさんのテクノロジーに囲まれているので、学校では不要と考えているからです。

プレゼンの準備段階では、コンピュータの電源を切り、アナログでの作業を推奨するレイノルズ氏(講演スライドより)
プレゼンの準備段階では、コンピュータの電源を切り、
アナログでの作業を推奨するレイノルズ氏(講演スライドより)

 実は、プレゼンテーションの原理原則は今も昔もそれほど変わっていません。アイデアをどのようにしてビジュアル化するかです。映画の製作方法が変わっていないのと同じで、変わったのはテクノロジーです。iPhoneでも素晴らしい映画を作ることができますが、映画はストーリーを語るためのものです。たとえカメラの性能が良くなっても、ストーリーが良くなかったり、ビジュアル化のプロセスが不十分なら、アマチュアかプロかにかかわらず悪い動画ができてしまいます。ですから、いきなりコンピューターやスマートフォンを使うのではなく、紙とペンから始めてみてください。基本に戻ることです。

 私は極力テクノロジーを使わないようにしています。プレゼンテーションに関する本を5冊書きましたが、共通して、テクノロジーはメインではないと主張しています。優れたプレゼンターは、時間を割いてしっかり準備をしています。準備する前に考える時間を持っています。これが重要です。

 そうした準備の後で、スマートフォンを使ってできることがあります。今のスマートフォンはとても多機能で高品質です。外の風景の写真を撮ったり、ビデオインタビューをしたり、ライブプレゼンテーションをしたり、2分程度の短い動画を作成したりと、さまざまなことができます。ですが、今の若い世代や学生たちを見ていると、そんなことにスマートフォンを使う人は少なく、SNSやセルフィーで遊んでいます。動画を作るとなるとストーリーボードが必要ですが、そんな面倒なことはしなくなったのでしょうか……。子どもたちは、われわれの世代にはないパワフルなツールを手にしています。これはとても恵まれていることですが、残念ながらそれに気がついていないようです。

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若い世代のプレゼンテーションは、テクノロジーとの折り合いが鍵

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この記事の著者

末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーランスライター。二児の母。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)

メディア編集部 メディア1(CodeZine/EdTechZine/ProductZine)編集統括 兼 EdTechZine/ProductZine編集長。1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。教育ICTのオ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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