文字でタイプするプログラミング言語にチャレンジ!
訪れた日は酷暑ながら、朝から次々に参加者がやってきた。パソコンには、ウェブブラウザですぐにできる「Google Blockly Games」や、「アルゴロジック」などが表示されていて、みな早速自由に触ってみている。これらは主にドラッグ&ドロップでの操作でき、パズルやクイズのような感覚で取り組めるビジュアルプロググラミングだ。
スタート時間になると、会場の一角で入門コースの「ミチナカバー号」が始まった。ここでは一転して、プロが使うのと同じ文字をタイプするプログラミング言語に触ってみる。とはいえ、数文字打つだけの簡単なものからだ。
全員が「CABA」のオリジナルテキストを見ながらコードを入力していく。使うのは「Python」という言語で、例えば「natsu」という文字を表示させるためのコードから挑戦してみる。コードの入力画面に「print “natsu”」という短いコードをタイプして「実行」ボタンをクリックすると、出力エリアに「natsu」という文字が出る。こうした小さなステップを繰り返していく。
オリジナルテキストが「教えすぎない」ように工夫されていて、例えば1問目には、入力コードだけが書かれていて、2問目は出力結果だけが書かれているので入力コードを想像するようになっている。最初はコンセプトがわからないで戸惑っている様子の参加者もいたが、参加者2人に対して1人以上の人数のファシリテーターたちがフォローしており、徐々にやることがわかってきたようだ。
小学生にとっては、まだキーボードでアルファベットを入力すること自体が難しい場合が多く、時間はかかるがそんなことは誰も気にしない。ファシリテーターが小文字と大文字の対応を書くなどしてフォローしながらゆっくりひとつずつキーを押してタイプしていく。
文法を積み上げるのではなく、とりあえず「エラー」と仲良くなる
ここまで聞くと、プログラミングを少しでも知っている人は、「え?そうやって文法を積み上げていくの?」と思うかもしれない。しかし、どうやらそういうことではない。始まって間もなく「エラーを出す」ことがいきなりテーマになったのだ。わざと間違ったコードがテキストに書いてあり、その通りにコードをタイプすると、エラーが出るようになっている。
「ミチナカカバー号」の隊長(前に立って説明・案内をする役目のファシリテーター)が「コンピュータの中に先生がいます」と言いながら、エラーの説明をする。エラーは間違いを教えてくれる「先生」だというのだ。これだけ最初にエラーと出会ってしまえば、これはヘルプのようなもので、怖いものではない、と感じられるだろう。
確かにエラーは英語が並ぶので難解と感じやすいが、実はごく簡単な英語で「何行目」の「どこ」が問題なのかを教えてくれる。プログラムは、どんなにシンプルで簡単なものでも、何百行にもなる複雑なものでも、記号がひとつ足りないとか一文字間違えただけで動かなくなる。プロだってミスをチェックするためにはエラーに助けてもらうもので、その基本は変わらない。
コンピュータにコードを書いて語りかければ結果が出力されて返答が来る。間違っていればエラーで教えてもらえる。その一連のやりとりにどんどん慣れていこう、といった方針のようだ。
エラーを体験した後も、繰り返し処理や演算式が含まれるコードが出てきたりするのだが、文法を学ぶという感じではない。「パソコンの特技を使おう!」といったテーマ設定で、コンピュータが得意なことをどうやってコンピュータに任せるか、という視点の設問が続いていく。