両備システムズは、同社の「こどもに関するデータ連携プラットフォーム『こどもの杜』」が、大阪府豊中市で実施される、こども家庭庁「こどもデータ連携実証事業」において採択されたことを、7月24日に発表した。

同事業の背景のひとつには、2025年3月にこども家庭庁が公開した「こどもデータ連携ガイドライン」がある。同ガイドラインでは、分野を越えて情報を連携して、支援が必要な対象を早期に把握し、プッシュ型・アウトリーチ型の支援につなげる必要が示されている。また、教育委員会、福祉事務所、保健センターといった自治体内外の関係機関との連携については、「目的の明確化」「必要最小限の情報共有」「適切な管理体制の整備」を前提とすることで実施可能であると整理されている。
豊中市では2023年度に「はぐくみセンター(こども家庭センター)」を設置し、児童福祉および母子保健の各課がそれぞれの専門性を生かして、園や学校、保健所といった子どもの育ちに関わる機関と協働しつつ、多様で効果的な切れ目のない包括的な支援を展開している。
現在は、両備システムズが提供している「家庭児童相談システム」によって、家庭からの相談や関係機関からの虐待通告受理時に、居住地の確定をはじめ子どもの乳幼児健診や所属園・校、医療・福祉サービス利用状況などを、迅速に分析できる状態にある。
さらに2025年度からは、児童虐待の通告窓口を市児童相談所に一元化。「はぐくみセンター」の役割については、従来の相談・通告を待ってからの支援ではなく、事象が発生する前にリスクを検知して、事前の介入による積極的、予防的な支援に改革していく必要があると考えられていた。その中で、システムと業務の連動性を将来構想として想定している、両備システムズの「こどもの杜」の採用、および実証事業への提案にいたったという。
「こどもの杜」は、自治体、医療機関、保育園・幼稚園、学校、児童相談所、その他子育て関連施設から必要な情報を集約して、支援が必要な家庭・子どもをあらゆるデータ項目から早期発見することで、プッシュ型の支援を実現するサービスとなっている。
今回実施される「こどもデータ連携実証事業」では、まず、団体内の役割整理、データ項目の選定、利用目的の特定を前提とした個人情報の取り扱いなどについて整理する。それとともに、支援が必要な子どもや家庭を早期に把握するために有用と考えられるデータ項目を連携させることで、リスクや支援の必要性が高いと思われる子どもや家庭について把握する。
これらの抽出結果を受けて、リスクや支援の必要性が高いと思われる子どもや家庭について、人の目によって支援の必要性を確認した上で、適切な支援方策を検討して必要な見守り・支援につなげる。なお、実施期間は7月〜2026年3月となっている。

さらに、現行の「家庭児童相談システム」との連携を強化することによって、家庭児童相談に相談があった児童・家庭の相談内容、状況が重篤化するかどうかの判断が可能になると考えられている。相談前のリスクの判定による支援対象者の抽出と合わせて、重篤化する恐れのある支援対象者の判定を行い、業務として包括的に支援対象者の洗い出しと支援を実現できるかを検証していく。

同事業の実施にあたっては、統括管理主体、データ保有・管理主体、活用主体を豊中市が、データ分析主体を両備システムズが担う。さらに両備システムズでは、今回の実証結果を基に改めて「こどもの杜」の課題を整理し、将来的な全国の自治体への展開を見据えた機能強化を行っていく。
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