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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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特集記事(大学の新しい挑戦)

キャリア教育における、東京との格差をいかに埋めるか? 名古屋大学「リーダーシップ開発講座」の成果とは

名古屋大学 副総長補佐/キャリアサポートセンター長/大学院経済学研究科 教授 土井康裕氏&学生インタビュー

講座に刺激を受け、学生団体を立ち上げたケースも

 リーダーシップ開発講座を受講した学生の変化としては、やりたいことや目標を言語化し、大勢の前で発表することができるようになった点が大きいという。

 2025年度の講座終了後に実施したアンケート調査では、回答者の34人中、「自分の価値観を言語化し、人に説明できる」で16人、「将来やりたいことやありたい姿が明確にある」で18人の評価スコアが向上しており、「キャリア選択をする際、どのような情報源を用いればよいかわかっている」では24人、「キャリア選択は自分の力でできると思う」では19人ものスコアが上がった。

 さらに受講者の中には、具体的なアクションにつなげている学生も存在する。2025年度にリーダーシップ開発講座を受講し、学生団体「PROTOhope(プロトープ)」を立ち上げ、学生と社会をつなぐ活動を開始した、経済学部2年生の原 惟貫輝(はら いつき)さんもその一人だ。

名古屋大学 経済学部2年生 原 惟貫輝さん(写真提供:原さん)
名古屋大学 経済学部2年生 原 惟貫輝さん(写真提供:原さん)

 かつては大学生活に目的意識を持てず、「何か行動を起こさなければ」と漠然とした焦りを抱えていた。2年生の前期にリーダーシップ開発講座を受講し、社会人や他大学の学生との違いに気づき、自らの可能性を広げるために行動を起こすことを決意。講座の1~2回目からすでに活動の構想が浮かび、3カ月後の2025年6月にPROTOhopeを立ち上げた。現在は5名のメンバーと共に活動する。

PROTOhopeのメンバー(写真提供:原さん)
PROTOhopeのメンバー(写真提供:原さん)

 モヤモヤを抱えていた1年生のころについて、原さんは「就活やガクチカ(学生時代に力を入れたこと)といった言葉を耳にするたびに不安に襲われていた。このまま何となく怠惰な生活を続け、果たして自分を雇いたいと思ってくれる企業があるのだろうか。そもそも、自分にはどんな価値があるのだろうか……。そうした焦りや不安の中で、『自分の価値を高めるために何か行動を起こしたい』と強く思うようになった」と振り返る。

 周囲に促されるまま受験・進学したこともあり、授業を何となく受けて帰る毎日。流されるように過ごす自分にどこかむなしさを感じていたが、リーダーシップ開発講座を通して、「自分自身の価値を見つけたい、目的を持って行動し学生生活をより充実したものに変えていきたい」といった思いが湧いてきたという。

 「さまざまな分野で活躍する方々から話を聞いて、今をどう生きるか、何をすべきなのかを考えさせられた。また、『知ること』によって価値観や意識が激変していくと実感した。東京の大学ではインターンや企業研究サークルなどが一般化していることもわかり、周囲にも『知ることの大切さ』を広げなければならないと考えた」と原さんは熱く語る。

 そうした思いを同じくする5人の学生と共にPROTOhopeを立ち上げ、夏休みにはOB/OG訪問を実施。そして、秋から冬にかけては「一流と触れ合う」をコンセプトに、社会で活躍する講演者と聴講者が交流できるイベントを企画中だという。

 さまざまな社会人と触れ合う中で、原さんは「何かを実現したい際のリスクの取捨選択の仕方を学べた」と語る。ほかにも、イベント開催という大目標に向けて背中を押してもらえたこと、マーケティング的な視点を得られたことなど、行動したからこそできた経験も少なくない。

 今後については「誰かの行動力に寄与できる人間」を目指し、自らの経験をほかの学生に伝えていくことで、その輪を広げていきたいと考えているという。

 そんな原さんについて、土井氏は「最初は存在感の薄い学生だったが、講座を通じて徐々にリーダーシップを発揮するようになり、周囲を巻き込む力を身につけた」と印象の変化を語る。これからもリーダーシップ開発講座は、学生が自らの可能性に気づき、行動に移すための重要な場として、貴重な学びの機会となるだろう。

次のページ
いずれは全学的な展開を目指したい──リーダーシップ開発講座の今後

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


関口 達朗(セキグチ タツロウ)

 フリーカメラマン 1985年生まれ。  東京工芸大学卒業後、2009年に小学館スクウェア写真事業部入社。2011年に朝日新聞出版写真部入社。  2014から独立し、政治家やアーティストなどのポートレート、物イメージカットなどジャンルを問わず撮影。  2児の父。旧姓結束。趣味アウト...

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森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

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