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教育現場でのICT活用事例紹介(中学校)

生成AIパイロット校で中学3年生が後輩に活用のポイントを伝授──生徒が得た気づきとは?

相模原市立中野中学校における生成AI活用事例

梅野総括教諭自身も生成AIの活用を通して気づきを得た

 同校で生成AIの活用を主導してきた梅野総括教諭は、今回の交流会のねらいについて「生成AIの活用を学校の文化として根付かせたかった」と述べる。3年生はある程度生成AIの使い方を身につけ、必要なときに主体的に使えるようになった。しかし、次に入学してくる新1年生は生成AIを使った経験がなく、また一からの指導になる。そこで「生徒から生徒に伝えることができれば、次の学年にどんどん継承されていくと考えた」と梅野総括教諭は語る。

相模原市立中野中学校 梅野哲総括教諭
相模原市立中野中学校 梅野哲総括教諭

 梅野総括教諭は生徒主体の授業を行っており、情報モラルやセキュリティといった基本的な部分は最初に指導したものの、その後はプロンプトのテンプレートを配布し、生徒は自由に各教科の授業で使用した。このように、生成AIを主体的に使ってもらいたいからこそ、生徒自身が後輩に教えていくサイクルを作りたかったのだという。

 では実際に、教員の立場から交流会を見てどのように感じたのだろうか。梅野総括教諭は「生徒はこれまでの取り組みについて自信を持って話せていた」と力強く語る。そして「生成AIの危険性や情報モラル、セキュリティなど、生徒の口から生成AIのメリットだけでなくデメリットも語られたことは非常に心強い」と述べた。

 しかし、ここに至るまでにはいくつかの段階を踏む必要があったという。ある生徒は、社会科の歴史上の人物について調べた際、生成AIから間違った情報が出力されたことで「使えない」と考えていた。しかしその後、生徒会の活動でアイデア出しに使ってみたところ、「オンライン目安箱の設置」という提案が生成AIから出力され、実際に取り入れられることになった。この経験から、その生徒は「生成AIが何に適していて、何に適していないのか」を理解し、どのような場面で使うべきか、気づきを得たのだという。さらに、こうしたノウハウは「Google Chat」上で共有され、生徒の間に広がっていった。

 梅野総括教諭は生成AIの活用を始めた当初から、生徒に「自分の考えに、異なる視点を取り入れる」ことの重要性を伝えており、「実際に、多くの生徒はそれを踏まえて使っていたと思う」と振り返る。加えて「問題の答えを問うような使い方は適していない」としつつ、「そのような使い方に誘導しない、教員側の課題設定が重要で、本校の先生方は皆工夫していたと思う」と述べた。

 さらに、約1年半にわたって生成AIの活用を進める中で、梅野総括教諭は「私自身の考えにも変化があった」と語る。当初は「生成AIを使う際は、自分の考えを持つことが欠かせない」としていたが、一方で自分の考えがなかなか持てない生徒の救いになると感じるようになったという。「最初のきっかけとして生成AIに質問し、出力結果を自分の頭の中にある知識と組み合わせて、考えを構築していく使い方もあるのだと気づかされた」とふり返った。

 なお、今後も生成AIの活用に取り組んでいく中野中学校では、2025年度に「総合的な学習の時間」の中で生成AI活用に関するカリキュラムを設定する。これにより、生徒はより体系的に生成AIについて学んでいくという。

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この記事の著者

森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

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