自分が生成AIを使って得た気づきを後輩に伝える
続いて、交流会でメンターを担った中学3年生の生徒に話を聞いた。約1年半、生成AIを活用してどのような力が身についたのかを聞いたところ、「出力内容から使えそうなアイデアを選ぶなど、取捨選択の判断をする力」という回答が複数の生徒からあった。また「生成AIから返ってきた内容はそのまま自分の考えにせず、あくまでひとつの判断材料とする」との意見もあった。
また、ほかのある生徒は次のように話した。
「生成AIを使うと思考力が衰えるイメージがあった。でも、実際に使ってみると思考力が培われたと感じる。すぐ生成AIに聞くのではなく、まずは教科書や本を読んで、それでもわからなかったことを聞くようにしている。文章を生成させるときも『この文章で本当にほかの人に伝わるのか』と考えるようになり、今までになかった思考力が身についたと感じる」
では日ごろ生成AIを使う際、生徒らは何に気をつけているのだろうか。これについては、複数の生徒が「生成AIに質問して返ってきた内容が本当に正しいか、自分で調べて確認する」と回答した。
また、ある生徒は生成AIと対話するような使い方をしているといい、「例えば数学の問題について先生に教えてもらいたいときも『答えを教えてください』とは質問しないし、先生も教えないはず。生成AIは自分の指示を聞くのでそれもできてしまうが、そのような使い方は違うと思う」と話す。対話をする際はプロンプトを工夫して「途中の計算式を出して」「私に対して質問して」などと入力しており、その出力結果に対してまた質問し、回答を出力させるそうだ。このように対話を繰り返した結果、「自分にとって何が課題なのか、どこが特に苦手なのかを理解することができた」のだという。
「生成AIのことを信用していない」と話す生徒もいた。出力結果に対して「なんか違うな」と感じた場合は、自分が正しいと思うことに置き換えているといい、「生成AIの内容を丸写しして間違えるよりも、自分の考えを書いて間違えたほうが成長できると思う」と意見を述べた。
最後に、交流会で1年生へ特に伝えたかったことを聞いた。「生成AIの出力結果には間違いがあること」と、多くの生徒から回答があったほか、「出力結果が理解できなくてもそのままにするのではなく、自分が理解できるまで対話を続けること」「あくまで自分の考えを軸にすること。生成AIやほかの人の意見を参考に自分の考えを整理して、よりよいものにすること」「『○○について教えて』と聞くのではなく、自分は○○のどの部分について知りたいのかを考え、言語化したうえでプロンプトにすること」といった意見が挙がった。
