通信事業者14社のサービスを一覧で比較できるPDFを配布中
学校ネットワーク自治体ピッチに登場した、通信事業者14社のサービスを一覧で比較できるPDFを配布しています。上の「14社インターネット接続サービス一覧表 」のリンクか、記事3ページ目からダウンロードしていただけます。なお、ダウンロードには「EdTechZine」の無料会員登録が必要です。(編集部)
GIGAスクール構想におけるネットワーク推奨帯域の達成率は2割にとどまる
冒頭に登壇した、文部科学省 大臣官房学習基盤審議官の日向信和氏は主催者挨拶で、「GIGAスクール構想の本来の目的を果たすためには、端末整備だけでなく、それを支えるネットワーク環境が必要不可欠である」と述べ、現場のネットワーク基盤の整備が急務であることを強調した。また「本日のピッチをきっかけに、より多くの学校で最適な回線が導入されることを期待している」として、関係者の積極的な連携を呼びかけた。

4つの課題と改善に向けたアプローチ
続いて、文部科学省 初等中等教育局学校情報基盤・教材課長の寺島史朗氏が登壇。「学校ネットワークの重要性と改善に向けた課題」をテーマに講演を行い、現在の推奨帯域(学校規模に応じた通信速度の目安)を満たしている学校は全体の2割程度にすぎないと指摘した。政府はこうした状況を踏まえ、「骨太の方針2024」にネットワークアセスメント(現状診断)の徹底と、結果に基づく改善策の実行を盛り込んでおり、令和7年度末までに全国の学校が推奨帯域を満たすことを目標に掲げている。

寺島氏は、学校ネットワーク改善における主要な課題を4点に整理した。
(1)原因分析の不足
ネットワーク不調の際に、校内LANなのか通信回線なのか、原因の切り分けが不十分である。これに対しては全校でアセスメントを実施し、ボトルネックを特定する必要がある。
(2)校内LANの整備不備
無線LANの設置位置やルーターの性能不足が原因となるケースも多く、文科省はその改善に向け、補助金や地方財政措置を用意している。
(3)通信契約の最適化不足
多くの学校が1Gbps(※)ベストエフォート型の回線を契約しているが、実効速度は300Mbps程度にとどまることが多い。特に大規模校では推奨帯域を下回ることが多いため、契約内容の見直しが必要である。
(4)専門人材の不足
自治体のICT担当者に十分な知見がなく、事業者との交渉力が弱い。これに対し、文科省は『学校ネットワーク改善ガイドブック』を配布しており、活用が推奨されている。
※bps:Bit per Second、1秒あたりに通信可能なデータ量の単位
寺島氏は、デジタル庁が公開している「教育DXサービスマップ」(詳しくは後述)に、「通信回線(ネットワーク)」の情報も掲載されていることを紹介し、「提供回線の比較・検討を進めてほしい」と呼びかけた。