世界でも先進的なGIGAスクール構想の環境をどのように活かせばよいのか
──日本は児童生徒に1人1台のコンピューターを配備する「GIGAスクール構想」により、世界的にも非常に先進的な環境が整備されました。一方で、そうした優れた環境を創造的思考や批判的思考の育成にうまく活用できていない印象も受けます。どのようなシーンでコンピューターを活用すればよいのでしょうか。
タブレットなどのコンピューターは創造的な活動、例えばプログラミングのほか、ポッドキャストやビデオを作ることにとても向いています。加えて、ディスカッションを録音したうえで自分の考えをまとめるなど、創造のプロセスを目に見える形で残せる点も大きな特徴です。
先ほど振り返りが有効であるとお話ししましたが、記録に残すことで振り返りがしやすくなり、振り返ることで、今まで自分が取り組んできたことを俯瞰的に見ることができます。たとえ失敗したとしても、問題を乗り越えた経験を次につなげられるのです。そうした点でも振り返りの能力を培うことは非常に大切だと言えます。
![](http://et-cdn.shoeisha.jp/static/images/article/11855/11855_002.jpg)
──創造的思考や批判的思考の育成については、住んでいる地域や家庭環境などによる教育機会の格差が影響していると感じます。この問題はどのように乗り越えればよいでしょうか。
以前OECDが実施した調査でも、家庭環境が創造的思考や批判的思考の能力に影響を及ぼすという結果が出ています。このような格差の是正にもコンピューターが有効です。例えば、インターネットを介して学校同士がつながり、地方と都市部の学校が一緒に取り組む方法はよいと思います。
また、教育格差を是正するNPO・NGO法人を国が支援することも重要でしょう。今回、私はNPO法人みんなのコードが主催する「Asia Pacific Computer Education Conference 2024」という国際会議に参加するために来日したのですが、NPOやNGOの取り組みによる成果を見ることができ、大変うれしかったです。世界には多くの格差が存在します。さまざまな国の方々と一緒にそうした問題の解決策を話し合うことができ、非常に有意義な時間を過ごせました。
──ありがとうございました。