人間だからこそできるフィードバックとは?
──クアリアは現在、大学生のサポーターがフィードバックを行っています。その点もこだわっているポイントなのでしょうか?
はい。ただ、より正確に言うと「実際に高校で『探究学習』を経験している人がサポートしたほうがよいのでは」という考えによるものです。今の大学生は高校で「探究学習」を経験しており、その上の世代は現状、探究学習を経験していません。大学生にこだわっているのではなく、必然的に大学生が担当しているということですね。
探究学習はテーマも進め方も人それぞれである一方、つまずきやすい部分やそこを突破したときの喜びは似ているように思います。先生からのフィードバックはもちろん参考にしますが、探究を経験していないが故に気づけない点も多いのではと感じています。だからこそ、経験者からのフィードバックはよりためになりますし、うれしいのではないでしょうか。
また、有名大学の学生が時間をかけてフィードバックをしてくれるという点も高校生にとって刺激になるようです。多くの高校生は学校生活の中で褒められる機会がなかなかないと思うのですが、あこがれの大学に通う先輩から「がんばっているね」と言ってもらえたり、探究テーマに興味を持ってもらえたりすることで自信がつくと聞いています。加えて、探究学習を経験していない世代である先生方からも「大学生のフィードバックを読んで勉強になった」と、大変ありがたいお言葉を頂いています。
ちなみに、フィードバックに関してはしっかりとしたガイドラインを設けていて、生徒の行動変容につながるように、サポーターとなる大学生にはフィードバックモデルの理論や実例をしっかりと学んでもらっています。
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なお、最近はAIを活用したサービスも増えていますが、自信につなげたり、モチベーションを向上させたりする観点から、フィードバックは現状、人間がやったほうがいいと考えています。大学生は高校生にとって「身近でありつつ、少し先にいる存在」です。だからこそ「サポーターからフィードバックをもらえるのはうれしい」という声はよくもらっているので、そこは重視していきたいです。
ただ、フィードバックよりも頻度の高いリフレクションの部分についてはAIを活用できると考えており、2025年の4月以降にはAIによる支援機能を追加予定です。リフレクションはどうしてもただの記録に終わってしまいがちなのですが、AIがより深く内省するように促すことで、新しい見方や考え方を得るきっかけ作りになればと考えています。
また「サービスの規模が大きくなると質が落ちていく」というのはありがちですが、その点はしっかりとケアして、生徒一人ひとりにしっかりと向き合うことは引き続き大切にしていきます。
私たちもよく高校を訪問する機会があり、面白い探究活動をやっている生徒にはたくさん出会うのですが、みんな謙遜して自信を持つことができていないんです。非常にもったいないことだと思いますし、だからこそ、クアリアのフィードバックで自己効力感を高め、将来に対してもっとポジティブになる高校生が増えればうれしいですね。さらにその高校生が大学生になったとき、サポーターとして高校生を支援するような、いいサイクルを生み出していければと考えています。
──ありがとうございました。今後の展開も楽しみにしています!
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