リフレクションで「自分の好き」に気づく
──クアリアの特徴についてもう少し詳しく教えていただけますか。
もともとは「フィードバック」を軸にしたサービスだったのですが、現在はそこに「リフレクション」を加えています。
リフレクションを重視するようになった理由は2つあり、1つ目は「履歴化」の観点によるものです。探究活動の中では講演を聴いたり、ワークショップに取り組んだりする機会がありますが、なかなか本人の記憶には残りません。よい体験をきっかけに少しずつマインドが変わっていったとしても、入試前などにふり返ると何も覚えていないというのはよくある話です。ですので、体験する度に「何をやって、自分がどう感じたのか」を記録する必要があると考えました。
2つ目は、生徒の感情の変化をとらえるためです。私たちは当初、「探究学習では生徒が好きなことに取り組んでいる」という前提のもとでフィードバックをしていたのですが、実際はそうじゃない生徒も多いことに気づきました。「好きなことを突き詰めてみましょう」と言われても、それが難しい生徒も多くいるんです。その原因のひとつに「無意識的な感情の変化を言語化していない」ということがあると考えました。
例えば、どのようなときにうれしい・悲しいと思ったり、感動したりするのかといった、意図しない感情の変化はその人自身の本質的な部分だと思うんです。ですが、それを言語化する機会がなければ流れていってしまいます。リフレクションによって「自分はこんなことが好きなのではないか」と気づきを得ることができますし、さらに他者からフィードバックをもらうことで「やはり違うかも」「いや、絶対にこれが好きなんだ」と、深掘りしていけると考えました。
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もちろん、そのためには生徒自身がリフレクションしやすい環境を作る必要があるので、生徒が自分の記録を見て、ふり返りやすい形にシステムを改良しました。使いたくなるには生徒自身が楽しめなくてはいけませんから、どんどんリフレクションしたくなるような仕組みも取り入れています。生徒同士で閲覧しコメントできるSNSのような要素もそのひとつで、友だち同士でお互いに刺激を受けながら取り組むことができます。
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