子どもたちの「好き」を引き出さなければ「やらされ探究」になってしまう
こんにちは。株式会社Barbara Pool 代表取締役/一般社団法人STEAM JAPAN 代表理事の井上祐巳梨と申します。前回の記事では、新しい時代に即した教育へアップデートしていくことの重要性と、東京都渋谷区・大田区が先進的に取り組む「本質的な探究づくり」のお話をさせていただきました。
後編では、児童生徒が「やらされ感」を抱かず、主体的に探究の学習活動に取り組める環境の整備や、教育関係者が持つべき心構えについて解説していきます。
学校教育に探究学習が導入されてから数年が経ちましたが、教育現場では「どのような問いをテーマに設定すればいいのか」「どうすれば児童生徒が探究学習に興味を持ってくれるのか」といった悩みを抱える先生方もいらっしゃるのではないでしょうか。
まず私は、教育現場は児童生徒が楽しめていない「やらされ探究」という課題と向き合わなければならないと考えています。
その際、ポイントとなるのは「児童生徒の本質的な思いを言語化してあげる」ことです。例えばゲームが好きな子に対して「なんでゲームが好きなの?」といったように深掘りしていく姿勢が教員に求められます。「友だちと一緒に楽しく遊べるから好き」という返答をもらったら、「友だちとコラボレーションするのが好きなんだね」といったように会話を広げて、子どもたちが言葉でうまく表現できない真意を汲み取ることが重要となります。
私自身も、渋谷区の小学校で実施されている探究「シブヤ未来科」の授業を視察する機会があるのですが、やはり教員の声かけによって授業の質が大きく変わることを実感しています。
そうした意味では、子どもたちの心の中にある「好き」や「ワクワク」をいかに引き出せるかという点において、教員の力量が試されていると言えるでしょう。