海外の学校では教科横断的な「プロジェクト型学習」が主流に
探究的・創造的な学びは、これからの「スタンダード」になっていく一方で、先生方が「どう教えていいかわからない」という状態であれば、本当の意味での「STEAM教育」は浸透していかないでしょう。
また、規律正しく確実に課題をこなすことが重要視される従来型の教育で育った日本の子どもたちは、「自分で国や社会を変えていける」と思う割合が2024年の日本財団調査でも6カ国中最下位を継続するなど、子どもたちが自分の未来を自ら切り拓いていく意識を十分に育めていない可能性を示唆しています。
こうした課題をクリアしていくには、実社会に開かれた学びのデザインが重要です。そのためには先生方の力だけでなく、企業や専門家と直接つながって授業を構築する必要性も出てきます。
世界の教育現場では、地域社会と連携したプロジェクト型学習(PBL)の導入が急速に進んでいます。PBLは児童生徒の主体的な問題発見・解決能力を養う革新的な学習方法として注目を集めています。
米国のカリフォルニア州サンディエゴにある「ハイテックハイ(HTH)」という公立校は、PBLの先駆者として世界中の教育関係者が視察に訪れる学校です。教科書や定期テストを廃止したほか、カリキュラムの柔軟性を重視し、「何をどれだけ教えるか」は各教員の裁量に任されているため教員からの人気も高く、多数の志望者を集めています。
このような「教科横断型の学び」が世界標準となりつつあり、日本の教育システムもまた、変革の必要性に直面しているのです。