学校がすべてではない、焦らず一人ひとりの子どもに寄り添う
学校は子どもたちにとって大切な場所ですが、人生のすべてではありません。不登校の経験があるからといって、それがその子の未来に悪い影響を与えるわけでもありません。むしろ、学校以外の場で学び、自分の道を見つけることもできるのです。「毎日学校に通うのが当たり前」という考え方を一度見直し、脇道や寄り道、いろいろな生き方があることを最も身近な大人である教員や保護者から示してあげることが子どもの安心にもつながります。
学校の先生や関係者の方々には、不登校のお子さんやそのご家族との距離感を大事にしてもらいたいと思います。あまりに頻繁に連絡を取ると、かえって負担に感じるお子さんもいるかもしれません。養護教諭やスクールカウンセラーの方とも相談しながら、「気にかけているんだよ」ということが伝わるよう、そっと寄り添っていただけるとよいと思います。保健室登校も、学校との緩やかな関係を継続するための大切な行動になり、不登校の児童生徒が「学校に行ってみようかな」と思ったときの架け橋になります。
不登校のお子さんがいるご家庭では、まず「学校がすべてではない」という視点を持って、子どもを見守ることがとても大切です。学校以外でも、自分らしい場所で自己肯定感を育んでいけるよう、支えることはできないでしょうか。例えば、地域の活動に参加したり、フリースクールなどの居場所を見つけたりすることで、新しい出会いや思いがけないポジティブな感情が生まれるかもしれません。また、不登校の子どもがいる保護者同士のコミュニティやSNS上でのつながりも今では簡単に見つかり、保護者自身が「なぜ自分の子だけが」といった孤独を感じないようにすることも大切です。前向きな意見交換や、日中の子どもの過ごし方の相談を同じ目線で行うことができます。
大切なのは、不登校を「マイナスの経験」として見るのではなく、子どもがその経験を通して成長できるように応援することです。たとえ学校に行けない日々が続いても、その先にはまだまだたくさんの可能性があります。「不登校であっても、人生はこれからいくらでも広がっていくんだ。自分次第なんだ。できること、やってみたいことにチャレンジしてみよう」というメッセージを、ぜひ子どもたちに伝えていきましょう。
また、中学生になると授業の進み方が速くなるので、学校に戻ることに不安を感じるお子さんも増えます。そのため、自宅での学びの支援がとても大切です。不登校支援団体や塾、家庭教師、オンライン学習・アプリなど、手段はたくさんある時代です。無理のないペースで学び続けられるような環境を整えてあげましょう。
特に中学3年生のお子さんにとっては、高校進学を考える時期です。公立高校の入試では、欠席日数が影響することもありますが、不登校児童生徒向けの特例制度や、入学枠を設けている場合もあります。ぜひ調べてみてください。また、私立高校や通信制高校といった選択肢も当然あります。高校は義務教育ではないため、学び方の幅も広がり、これまで学校生活が苦しかった子も、のびのびと楽しい高校生活を送っている例も多いのです。
すべての子どもたちが平等に教育を受ける機会を持てることが理想だと言えます。ICTなどを活用したオンラインでの公的な学びの機会がさらに増えることで、子どもたちの新たな可能性が開かれていくことが期待されます。