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「教育長の限界を教育の限界にしてはいけない」――トップに立つ先駆者の事例から考える、ICT教育を推進するために重要なこと

New Education Expo 2018イベントレポート

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2018/07/02 14:00

 教育関係者向けのセミナー&展示会のイベント「New Education Expo 2018 東京」が6月7日~9日の3日間、東京・有明の東京ファッションタウンビルで開催された。激変する社会情勢の中、昨年3月の新学習指導要領の告示、6月の高大接続改革を受け、日本の教育界はどのように変わっていくのか。その鍵を握るのは、自治体や教育委員会など公教育を牽引する組織のトップともいわれている。そこで本稿では、教職員・教育関係者による多彩な70近い講演の中から、9日に行われた「トップが考えるこれからの教育と情報化戦略」についてレポートする。

地域差の大きいICT教育の現状――トップのリーダーシップが重要に

 教育界における大改革は、多くの議論を経て、いよいよ実行段階を迎えつつある。昨年3月に新学習指導要領が告示され、7月には高大接続改革についても最終的な実施方針が策定された。名実ともに教育の情報化が進行する中、現場ではさまざまな問題が表面化し、戸惑いも少なくない。いったい何をどのように解決するべきなのか。

 冒頭、本講演のコーディネーターを務めた富山大学名誉教授の山西潤一氏は、「これからの子どもたちが実社会で活躍するのは20~30年後。その意味では、明日のことよりも将来のことを考えるべきではないのか」と投げかける。

富山大学名誉教授 日本教育工学会 前会長 山西潤一氏
富山大学名誉教授 日本教育工学会 前会長 山西潤一氏

 実際、シンガポールではスマートフォンを活用した授業が開始され、オーストラリアでもBYODを用いた学習が行われているという。世界的に教育のデジタル化が進む中で、日本が取り残されていることは明白だ。将来的にグローバル化がさらに進めば、世界と対峙することも難しくなるだろう。

 「今後到来する知識基盤社会において、第三次産業に従事する人が飛躍的に増加し、世界のどこからでも働ける状況になった際、何が求められるのか。創造力や協業力、ICTを使いこなす力などの『21世紀型スキル』が必要となり、世界がその方向に向かう中で、日本での取り組みは地域ごとに大きな差がある。これを是正するには国と地域のビジョンと尽力が不可欠であり、教員や保護者が声を上げていくしかない」

 山西氏はそう警鐘を鳴らし、教育におけるICTインフラの充実を強調する。事実、環境の整備状況や、教員のICTとの親和性のレベルによって、児童・生徒のICT活用力に差が生じているという。

 「教育の仕組みづくりにおいて、ICTが活用できる環境を整え、教えられる人材を育成することがまずは必要。そこには当然ながら人・物・金が必要となり、方向づけを図るリーダーの存在が大きい。そこで、国内では先進的な取り組みを進めている各地域のリーダーから、現在に至るまでの経緯を聞いて参考にしてほしい」と山西氏は講演の目的を語った。


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著者プロフィール

  • 伊藤 真美(イトウ マミ)

    エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

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