多岐にわたる「入試業務」をより正確・スピーディーに
大学の入試業務は「募集要項の作成、頒布」にはじまり、「出願受付」を経て志願者が確定した後、「試験実施準備」では「受験票の発行・配付」や試験室・監督者の配置、試験資材の準備を行う。そして「試験実施」日には試験監督者への問題の受け渡し業務などがある。さらに試験室から戻った答案の整理を経て、採点・得点処理、合否判定の後、「合格発表」を経て「合格通知・入学手続き書類」が合格者のもとに届けられる。そして「入学手続き」「学生証の発行」をもって入学試験は完了となる。そして振り返りにより、「次年度への改善」につなげる。その全体運営を青山学院大学の入試課は取り仕切っている。
一連の過程で、「志願者」「受験者」「合格者」「手続者」「入学者」と当該者の呼び名が変わっていく中、異なる担当部署が必要な業務を担当する。同大学では、入試当日など業務によっては関与する教職員や協力学生が500人ほどにもなるため、ミスをなくすためにも適正な人的リソースの配置や各業務間の連携など、バックヤードの備えが求められていた。
「業務進行上、呼び名は変わるものの、当然ながら受験活動をする方は同一です。ミスやセキュリティ上のトラブルがあれば、受験生に多大なるご迷惑をおかけすることになるとともに、大学の信用失墜になります。スムーズなやり取りを実現し、最終的に入学する学生の『学籍データ』とするためには、その時々においてデータ作成・管理をするのではなく、共通するデータソースにアプローチして、共通のプラットフォームの中で担当者が携わることが理想でした。
そこで、まずはWeb出願を導入した上で、出願受付や受験票の発出、試験室の確保、監督者の配置、問題冊子や解答用紙の試験室ごとの区分、さらには実施後の合格通知の出力、入学手続き事務をデジタル化・外部委託化することを、私から学校法人の上層部に提案いたしました。デジタル化によって業務を効率化し、出願データを一元化することでミスがなくなり、各部署が本来の業務に集中できると考えたのです」(鈴木氏)
当然ながら、初年度はシステム導入のための費用や業務の負担が大きくなるが、経年で見れば圧倒的に費用対効果が高い。さらに情報が統合され、Web上でのやり取りが可能になれば、受験生側のメリットにもなる。そうした考えのもと、同大学では2016年度入試からWeb出願を導入し、一部を除く入試業務の外部化とデジタル化を実現させた。そのプラットフォームとして2017年度より導入したのが、ODKソリューションズが提供する、受験ポータルサイト「UCARO」だ。
UCAROの導入により、学内の担当者同士でデータソースを共有し、システムの連携によって業務効率も向上した。さらに受験生にとっても、出願から受験、合格発表、入学手続きまでをUCARO上ですべて行えるようになり、同じくUCAROを導入している複数の大学とのやり取りも一括で管理できるようになった。
「現在は入試広報の活動の一環として高校へのガイダンスを行う際、必ず生徒にUCAROを利用してほしいと告知しています。導入直後は戸惑いの表情を拝見することもあったのですが、近年は111大学が導入していることもあって、知っている生徒はもちろんのこと、告知時にすでに使っているケースも増えてきました」(清水氏)