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特集記事(教職員の働き方改革)

6割の教員が部活動による土日出勤ゼロに! 岐阜市立島中学校の保護者との連携による部活動地域移行の軌跡

 学校現場における教員の長時間労働は大きな問題となっており、中でも部活動の指導は勤務時間増加の大きな要因の一つとされている。スポーツ庁と文化庁は、令和4年12月に「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」を策定し、「部活動地域移行」を段階的に進めているが、実施が難航している自治体も多い。そのような中、岐阜市立島中学校では、2021年7月より土日の部活動の運営を順次「保護者クラブ」に移行し、生徒の意欲を損なうことなく教員の土日の勤務時間を大幅に削減。今回は、「部活動地域移行」を推し進めてきた同校の校長である辻伸之氏と、実際に部活動による土日出勤がなくなった同校教諭の大熊誠氏にインタビューを行った。

週7勤務が当たり前、「保護者クラブ」への移行前における働き方の課題

──土日の部活動を「保護者クラブ」へ移行する前に、部活動にどのような課題がありましたか?

辻氏(以下敬称略):一番は教員の負担の大きさです。私は以前、自分の専門であるサッカー部を担当していたので、当時はほぼ毎日部活動を見ていても苦ではありませんでした。しかし、そうではない教員も多いのです。

 専門ではない部活動を見たり、学校の都合で毎年担当部活動を替えられたりと、かなりストレスを感じている教員が多かったように感じます。また、かつては土日の部活動は当たり前で、週7日勤務が常態化していました。苦しくても「子どものためだから土日勤務も当然でしょ」という雰囲気が岐阜市だけでなく、全国的にあったと思います。

 このような教員の負担の大きさを感じたのが出発点でした。

岐阜市立島中学校 校長 辻伸之氏
岐阜市立島中学校 校長 辻伸之氏

──土日の部活動の運営を「保護者クラブ」へ移行した決め手を教えてください。

:私は令和3年4月に本校に着任しました。その当時、ある教員が「校長先生、知っていますか。国が令和5年から部活動の地域移行を進めていくんです」と教えてくれました。私は前任校が小学校だったため、このとき初めて「部活動地域移行」について知り、取り組みを進めていこうと思いました。

 当時、本校には14の部活動があり、そのうち11の部活動には既に「保護者クラブ」ができていました。土曜日は教員が指導をして日曜日は「保護者クラブ」による運営という仕組みがあったので、これをさらに活用しようと考えました。

──土日の部活動を「保護者クラブ」に移行するまでに、どのようなプロセスを経ましたか。

:まずは部活動の保護者代表者会議で、「保護者クラブ」がない部活動に設置を依頼しました。それと併せて国の「部活動地域移行」についても説明し、今後は土日両日とも「保護者クラブ」による部活動運営とすることを伝えました。

 また、「保護者クラブ」に運営を任せても、各部活動に専門的指導ができる大人が複数名いなければ長期的な活動は難しいため、各部に複数名の社会人指導者を確保してもらうことも依頼しました。

──保護者から反対の声は上がりませんでしたか。

:正直、反対の声はありました。これまで日曜日の週1回だけだった「保護者クラブ」による部活動運営が、土曜日も追加されて2日間になるということで「保護者の負担が増える」「なぜ先生は土日に来ないんだ」「うちの子どもが在籍している間はやめてほしい」といった意見が出ました。

 そこで私は「部活動地域移行」のメリットを文書にまとめて説明しました。例えば顧問が必ずしも専門的な指導ができるわけではないこと、社会人指導者を立てれば子どもたちが専門的な指導を受けられる上に、平日の夜間を含むより多くの時間に活動ができることなどを伝えました。中でも特に「部活動をやりたい子がやれる環境を作れる」という点が一番のメリットだと考えたので、強調しました。

令和3年当時に保護者に配布した、部活動のあり方についての文書
令和3年当時に保護者に配布した、部活動のあり方についての文書

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約6割の教員が土日の部活動出勤ゼロに! 現在の休日における部活動の実態

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この記事の著者

渡辺 基永(編集部)(ワタナベ キエイ)

 EdTechZine編集部所属。元高校英語教員。趣味は海外旅行と英会話。EdTechに関する情報をお届けします!

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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